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第64話:厳しい業界でも2倍の価格で売る戦略

SPECIAL

導線経営コンサルタント

日本成長戦略研究所株式会社

代表取締役 

【非対面化・オンライン化・自動化】を組織の中枢として捉え、「集客から営業・販売」まで一気通貫で儲けを逃さない導線を設計し、「仕組み化」することで収益を最大化する経営手法を“導線経営”として体系化した第一人者。100名以下の中小企業を中心に「1年で売上2倍の仕組みづくり」を指導。

厳しい業界でも2倍の価格で売る戦略

「教習所の価格は通常20万円後半なので、50万円以上するプログラムが、ここまで好評になるとは思っていませんでした。嬉しい誤算です。」とは某教習所のA社長。教習所と言えば、少子高齢化の影響をまともに受ける業界であり、若者の車離れもあって、集客にはどこの教習所も苦労しているのが現状。価格競争も激しく経営難で廃業というところも少なくありません。

ところが、こちらの教習所はちょっと違います。入所者数は増加し、売上も順調に推移。自社が主催する、年に一度の花火大会では1万人以上を集客し、50万円以上する教習プログラムを年間700人以上に販売しているのです。一体何をしているのか?と言えば、価格に見合う価値を提供している、もっと言えば、価格以上の価値を提供しているのです。下記の写真を見てください。

 

教習所のVIPコース

 

冒頭でお伝えした50万円以上のコースに申し込んだ方専用の待合室(VIPルーム)です。専用の受付カウンターで受付を済ませた後は、飲み放題のドリンクバーで好きなドリンクを手に、奥のゆったりしたソファーで教習の時間を待つことができます。そして、VIPルームの中にはこんなものまで...

 

教習所の水素カプセル

 

VIPコースの方は使い放題だそうです。その他にも専用のロッカールームがあったり、教習の時間になると指導員の方がVIPルームに迎えに来てくれたり、一般の受講者では指名することができない高評価を受けた指導員のみが対応したり...と「至れり尽くせり」のオンパレードです。

だからこそ、所内では単なる「VIPコース」ではなく「IT VIPコース」と呼ばれています。この「IT」は、「至れり尽くせり」の略だそうです。この内容を知れば、それも納得です。

お客様は常に、“価格”と“価値”を天秤にかけて、その商品・サービスを購入するか否かを決めています。であれば、価格以上の価値を提供する戦略・仕組み・仕掛けをどう創り上げるか?が企業努力と言えるでしょう。

そして、1万人以上を集客する年に一度の花火大会の力の入れようは、まさに全社一丸となっての大イベント。花火に関しては、有数の花火職人に依頼した迫力あるもので、花火につきものの出店やイベントも相当に凝ったものです。

社長は「予算以外のことはスタッフに任せきりで口を挟まない」とのことでしたが、花火大会の実行委員となった数名のスタッフは日常業務から外れ、業務時間中に買い出しなどに走ります(予算は想像をはるかに超える額でした)。

なぜ、こんなにも予算と労力を割いて、花火大会に力を入れるのでしょうか?それは某教習所にとって、花火大会が“集客商品”だからです。

どういうことかと言うと、花火大会の招待状は近隣の住宅全てに配布されるそうですが、お爺ちゃん・お婆ちゃんは必ずお孫さんを呼ぶ。お孫さんとひと言で言っても、よちよち歩きの子から中学・高校・大学生まで様々。するとその一定の割合のお孫さん達が教習所の最高の見込客になると言うことです。

以前のコラムでも、「集客商品と収益商品は別物。この2つをしっかり分けなければならない。」とお伝えしましたが、それを物の見事に実践している良い例だと言えるでしょう。中小企業が中長期的に成長していくには、2つのビジネスモデルしかありません。1つは、“高収益商品”を持つこと。そして、もう1つは“継続課金”の商品・サービスをつくることです。

“継続課金”の商品・サービスに関しては、また次の機会で詳細を解説するとして今回は割愛しますが、“高収益商品”に関して申し上げれば、これをいきなり売ろうとしても、そうは上手くいきません。だからこそ、“高収益商品”を売るために、見込客を集めるための“集客商品”が必要なのであり、利益にならない・無料に近い集客商品を本気で売ることをしない限り、集客できないのです。

「無料の商品を本気で売る」とは見込客が喉から手が出るほど欲しいと思う、自社でしか提供できない(無料の)商品・サービスを、広告などにお金をかけて売ると言うことです。

業績の思わしくない企業は、「“集客商品”がないから、メインとなる“収益商品”が売れない」「“収益商品”が売れないから価格を下げる。」と言う悪循環になってしまっていることが少なくありません。

逆を返せば、“集客商品”があれば、高額な“収益商品”であっても売れると言うことです。貴社にはお客様が満足する“高収益商品”がありますか?それを売るための“集客商品”がありますか?

 

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