開発型企業になるためのポイントとは?
下請け企業が開発型企業になるためのポイントとは?
ポイント其の壱:「下請けから抜け出せない核心に迫る」
私が行うコンサルティングのテーマである「どうしたら下請け企業が開発型企業になれるのか?」について、重要な3つのポイントを今週から3週に渡って順番にお伝えしていきたいと思います。
今週は、まず、最初のポイントとして、なぜ多くの中小製造業の方が下請けから抜け出したいと考えているのに、依然として下請けを続けているのか、その核心に迫ります。
セミナーやコンサルティングにおいて製造業の経営者の方とお話ししていると、多くの方から、下請けの厳しさや苦労話をお聞きします。
例えば、毎年の厳しいコストダウンの要請。
生産の数を確保するために必死に歯を食いしばって頑張り、一生懸命に改善を繰り返し無駄を取り除いてコストダウンする。それでも同じ製品で毎年、毎年、繰り返される要請に追いつかず、疲れ切ってしまう。
さんざんコストダウンで協力しても、生産の海外移管や需要の変化で、突然、生産数が激減したり、無くなったり。
それでも、数を確保したくて、元請け企業に頼み込んで、生産する製品を分けてもらう。分けてもらった手前、要請には逆らえず、ひたすら頑張り疲弊する。これを繰り返す内に、ますます、依存体質から抜け出せなくなる。
技術力のある会社でも、先週のコラムに書いたように、高い技術力で難しい商品の量産立ち上げに協力したにも関わらず、いざ生産数が伸びてきたら元請け企業が内製化を始め、おいしいところは持っていかれる。
似たような話で、元請け企業の現調化の支援協力なども、わざわざ苦労して将来の自社のライバルを海外に作るようなものです。わかってはいても、元請けの要請には逆らえない、、、
これらの話は、比較的、表向きの話で、実際には、書けないような話をたくさんお聞きします。本当に苦労されています。
自ら商品を開発し、元請け企業を含む複数の企業に販売したり、あるいは、個人に販売することができたら、どんなにすばらしいか。
特定の元請け企業に依存しない自立した会社経営を手にいれ、商品の値段も真に自分で決めることができるようになれたら。
取引する会社を選ぶ自由を手に入れ、嫌いな会社や理不尽な会社とは取引を止め、好きな会社と取引できるようになれたら。
素晴らしいですよね?
セミナーでは詳しくお話ししていますが、私は、前職時代に下請け企業以下の立場に置かれ、さんざん苦労しました。それだけに、こんな状況をなんとかしたい、というのが私がコンサルタントを始めた動機です。
ところが、「商品開発を行える開発型企業になりましょう」というお話しを経営者の方にすると、かなりの確率で、ある 心理的な壁 に遭遇します。
それは、「何を開発したらいいのか、教えてくれ」というものです。
長年、ものづくりを続けてきて物を作る製造技術はある、少々難しい加工でも持ち前の技術開発力で何とかして見せる、そんな自信から、何を開発したら良いかさえ分かれば開発して見せる、といった心理が働いています。
この心理にこそ、開発型企業になるための最初のポイントが含まれています。
製造の技術開発力はある、でも開発型企業にはなれ無い、なぜでしょうか?
技術開発力があるのであれば、自力で商品を開発できるはずなのに、なぜ?
それは、「技術開発力だけでは、開発型企業にはなれない」からです。
にも関わらず、技術開発力だけに頼ろうとするから、開発型企業になれないのです。
極めてシンプルな式で表現すると、こうなります。
商品開発力 = 企画力 × 実現力(技術開発力)
至極、当たり前のことですが、商品開発には、技術開発だけではなく、「企画力」が必要になります。開発型企業になるためには、企画力を身につけなければなりません。
はっきり申し上げて、「何を開発したらいいのか、教えてくれ」という気持ちの持ちようでは、永久に開発型企業にはなれません。
「何を開発したらいいのかを考えること」
それは、「あなたの仕事」です。
まず、「企画は自分の仕事」と、自分事として考える姿勢をもつこと、これが、開発型企業になるために欠かせない、乗り越えなければならない最初のポイントです。
あなたは、企画を自分事と捉えていますか?
自分は作ることが仕事で、企画は、だれかから与えられるもの、と思っていませんか?
もし、思っていたのだとしたら、そこを変えることが開発型企業になり下請けから抜け出すための最初の一歩です。
次週は、「商品開発力 = 企画力 × 実現力(技術開発力)」の式からだけでは読み解けない、開発型企業になるための2つ目のポイントについてお話ししたいと思います。是非、来週もお読みください。
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