「理念」と「儲ける仕組み」の関係とは
「御社には理念がありますか?」
経営者がこう聞かれたときによくある答えとしては、
「はい、つくりました。ホームページにも載せています。」
もしくは 「いえ、まだつくってないんですよ。」 といったものです。
しかし、会社として正式につくった理念があるということと、その会社に本当の意味で「理念がある」ということはまったく別のことです。
理念はつくっていなくても、社長の心の中に「この業界を変えたい!」といった想いや志、大切にしたい価値観といったものがあれば、もうそれは「理念がある」ということですし、そういった想いや価値観は社長の普段の言動にも自然と表れるものです。当然、自然と社員にも浸透していきます。
一方で、会社として正式に理念がつくられていたとしても、有名な大企業の理念を真似てつくったような、抽象的できれいな言葉が並んでいるだけのものになっているケースが多々あります。人類、社会の進歩と発展に、、、というようなものです。
ひどい場合は、ホームページを制作する際に理念をコンサルにつくってもらったけど、社長も社員も覚えていなかったり。。。つまり理念をつくる(そしてそれを会社案内やホームページに載せる)ことが目的化しているケースです。これはもう「理念もどき」というしかありません。
正式に言語化できていなかったとしても、それを考えただけで心が奮えるような理念があること。これがビジネスで最も大切なことだと私は信じていますし、きつい言い方にはなりますが、本当の意味で「理念がない」という人に経営トップを張る資格はないとさえ思っています。
当然のことですが、理念だけでは食えません。理念を唱えればお金が入るのはオカルト新興宗教ぐらいなものです。この資本主義で成功するためには「儲けるための仕組み」をしっかりつくっていくことが絶対に必要です。
しかしながら、理念をもたず、儲かるならばなんでもありとなってしまうと、社員の心は離れ、お客様からも支持されず、最終的には市場から締め出されてしまうことになります。成功するためには「論語と算盤」の両方が必要なのです。
面白いのは、「理念」と「儲け」という一見相反することに実は深い相関関係があるということです。お客様の役に立ちたい、世の中を変えたい、といった想いが強い会社ほど、お客様の困りごとに正面からぶつかり、できるできないの枠を超え、困難を乗り越えて苦心の末に常識を覆すような商品やサービスを生み出しています。
効率よく儲けようとか、競合との差別化のためにうちはここを変えようとか、どこまで行っても自社都合の発想では、結局は本当の意味で他社との差別化にもならず、自社を市場で埋もれさせ、儲からないという結果となってしまうものです。
今や飛ぶ鳥落とす勢いのニトリ。「寝ても覚めてもお客様のことを考えている」という同社会長は商品のアイデアが尽きることはないという。そして、そのアイデアの実現を阻む最大の敵は、常識的でリスクを嫌う社内の幹部。幹部が反対した案件こそ押し切るという。
そんな会長が「儲けのためではなく、ロマンのために」にやっているという会社は30期連続で増収増益となっています。
「理念」の実現のためにリスクを取り、常識を破る一手を繰り出している企業が結果的に選ばれ、「儲け」を手にしています。
御社は論語と算盤、理念と儲かる仕組み、どちらも際立たせていますか?それとも、どっちつかずになっていませんか?
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