自社の良さを認識した後にやるべきこと
「ウチの会社には、こんなに凄い資産があったんですね!いや〜これまで当たり前だと思っていて気づかなかったことですよ…」
先日ご相談にいらっしゃった社長様の会社で、主だったメンバー達による会社の強みの洗い出しを行ったときのことです。普段、何気なく仕事をしている中では決して意識しない部分や、日頃、前ばかりを見ていてなかなか振り返る機会の無い過去の実績を改めて認識し、お互いに共有できると、これまで自分達がおこなってきたことに対して大きな自信を持つことができる…それがまた会社の武器となり、新たなビジネスチャンスにつながる、と、経営者であれば容易にイメージできることだと思います。
私が関わる会社様においても、強気な営業体制をつくっていくために必要な入り口として初めにやっていただくことは「現状把握と原因分析」であり、次に「活かせる社内資産を洗い出す」ことです。これまで見てきた多くの会社の中には、現状把握や原因分析を自分達なりに行ってみたけれど、互いの都合の良い言い分を並べた“現状把握”や、できない言い訳を羅列した“原因分析”になってしまい、最後は「会社が悪い」「社長が悪い」…で終わってしまう残念なケースもありました。
本来これらの作業は、「こうありたい」、「こうなりたい」と言うビジョンや計画に基づいて行うべきだと思いますので、そこが抜けていたのであれば致し方ないことなのかもしれません。また、仮にそこまでがうまく進み、その次の「活かせる社内資産の洗い出し」までうまく出来たとしても、そこで立ち止まってしまっている会社は決して少なくありません。
これまでの営業体制から抜け出し、新たなチャンスに向かうということは、当然ですがこれまで経験したことの無い事柄にぶつかることになります。例えば、初めてのエリアやターゲット・手法で臨まなければならなかったり、同じ商品やサービスも魅せ方(見え方)を180度変えなければならなかったり。過去の常識が非常識になるわけです。
実は、これは想像している以上に難しいことで、今までと同じやり方や馴染んだ顧客の中であれば通用した自社の実績も、初めてお会いする方には全く取り合ってもらえなかったり、こちらは良いと思って始めた新たな取り組み(新しいサービスや商品)が全く受け入れられなかったりするからです。意気揚々と取り掛かったことも、「それの価値が伝わらない」、「他社の商品(サービス)とどこが違うのかわからない」など、世間からの“NO”が続くと、誰しも気持ちが落ち込み、
「もしかすると方向が間違っているのかもしれない」
「やはり我が社には無理だったのかも」
「まだ時期尚早なのでは?」
などなど…もっともらしい理由と共に後ろ向きな空気が漂い、いつの間にかこれまで通りのやり方に戻ってしまっていることが多いのです。誰しも“変わる”ことは非常に難しく、馴染んだやり方の方が当然ラクだからです。どこの会社も現状の新規開拓営業が進まない理由はここにあり、ターゲットや商品を新しくしたとしても、劇的に売上が伸びるはずは無く、むしろ最初は効率が悪く地味な取り組みが続くのです。
特に規模の小さな会社はマーケティングを苦手とするところが多いと思いますが、大手のようにたくさんの経費や人手を掛けることは難しくても、地道に情報を集めることはできるはずです。定量的な情報であればネットや情報機関を使えば取れるし、既存顧客を持つ会社であればアンケートなどを活用してお客様の声を集めることも可能でしょう。しかし、一番大切なことは…
「これから向かう新たな市場に、“とにかく行ってみる”“直に見て聞いて自ら感じてみる”こと」です。
それら無くして、理屈だけで考えた商品やサービスは決して相手に受け入れられるはずがありません。まずは動いてみて、自分の言葉で伝えてみて、お客様の声に耳を傾けてみることが重要です。
経営者の皆さま。新たな体制づくりに向けた勇気ある行動は取れていますか?そしてそれらは継続して行われ、社内に定性的な情報は積み上がっていますか?これまでの会社の歴史や積み上げてきた実績に加え、誰のために何を提供し、自分達はどこへ向かうのかを伝えるためのストーリーづくりには、「顧客目線でどれだけ動き、考えたか」が大きな鍵となり、その厚みと重みが顧客に伝わる価値となり、それを支えるのは経営者の情熱なんですよ。
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