売る自信と計算ドリルとAI(人工知能)の深い関係
「電子基板を作っているから、今大忙しですよ。
何処も儲かっているんじゃないのウチらの業界。
AIっていうんでしょう人工知能、オレの子供達の時代には人工機能のついた機械で仕事が済んで、子供達の仕事が無くなって、食えなくなるかもしれない。
でもありがたいよね、見積もりは。お客さんの売上予測とスケジュール管理にどれほど肉薄出来るかの『かけ算』なのに、お客さんの話から数字も売上も両方いただく事だもの。」
AI関連特需か、製造部品の受注が急増して猫の手も借りたい忙しさの工場長。
自社の技能は、AIそのものではなく、AIを搭載する機種に搭載される部品の一部をつくるための部品(秘密がいっぱい)。
今までも同じような部品を作ってきましたが、業界はあくまで電機業界の中。
これからは、自動車や医療さらに金融と、活躍する業界が増えるし、格段に大きく、しかも多様化しています。
そもそもAIって何?
AIは、人口(Artificial)知能(Intelligence)の略語。
簡単な言い換えをすれば、「人間が持つ知的判断をコンピューターが、学習をしながら、行う機械」と言うことでしょうか。
自動車の自動運転、最新のガン治療医療、金融のIT化など、AIは産業界を大きく変化させる力を持っています。
特に金融の世界では、高額給与トレーダーの失業と言うショッキングな予想が、現実になりつつあります。
たくさんの高学歴高額所得者が、世界の株価情報や経済ニュースを常時チェックし数値化して、利益を上げる仕組みが、AIに取って代わられています。
AIは、大量の情報の中からもっとも適切な情報を瞬時に選び出します。
数値データや文書データが膨大にあるときに、その威力が発揮されます。
「僕たちが、直接AIを作成しているワケではないですよ。僕たちは、ただの部品屋。」
売上が好調なのは、見積もりの明快さ、数字の読みの自信、それに小ロット多品種を単純手作業で短時間に行う体制造りのおかげだと話します。
部品を売る現場に、金融工学を駆使する数学の天才は、必要ありません。
正確に、自信をもって、見積もりを呈示することが何より大事だと言うのです。
部品製造図面は、発注側から提供されます。
納期も指定があります。
使う部材・部品も指定されています。
にもかかわらず、一つの部品に 数社から十数社の業者の見積が出て、見積もり金額はそれぞれ違うのです。
なぜでしょうか?
下請け工場を使ったり、自社でも海外工場で製造する体制であったり、製造人件費の単価はそれぞれの会社の事情を反映します。
部品にしても、安く大量に仕入れ済みの部品もあれば、手持ちが無くて小ロットを高い金額で仕入することもあります。
当社の見積もりに自信がある、その根拠は?
当社の見積もり計算は、発注個数によって、部品の単価・人件費の単価は違うことをルール化しもの、先代社長から引き継ぐ60年のノウハウです。
ルールができあがっているので、なぜ、この金額で大丈夫かを、順序よく説明出来ます。
「+と、×と、時々-」と計算が簡単なので、間違いミスが出ません。
やり直しなしだから、自信満々になります。
小学生の計算ドリルと一緒です。
クラスで一番に「はい!出来ました!」
「凄いね!計算ミスもないし、字もきれいだ。」
と先生に褒められた子供が、数学好き、勉強好きで優秀な生徒になっていきます。
商売の世界は、結局 売上と利益の数字をあげる世界です。
数字好きで、見積書大好きの方が、儲かるに決まっています。
数字が不得意という方は、たぶん小学生のとき、計算がちょっとゆっくりだった人
計算ドリル・百マス計算をこっそりやってみて下さい。
しつこく売上や利益を追っかける人が、計算出来ないワケはありません。
数字の計算に自信がつけば、販売に明るい人になります。
数字に明るい人が、AIを活用できたら、もっともっと業績アップになります。
ローソンでは、総菜や弁当の発注業務をAIで支援する「セミオート発注システム」が導入されています。
ローソンが目指したのは、コンビニ経営者にとって時間がかかる発注作業の負担軽減です。天気や顧客の購入実績など、過去の経験をAIで補完し、実際に作業時間が70分から26分に軽減したそうです。
さらにこのシステムの大きな目標は、売上拡大です。
総菜や弁当という賞味期限が短い商品は、廃棄ロスをなくしたいと考えて、仕入を押さえがちです。
商品が少ないと、お客様から見て、ほしいものが無いお店になり、結果 販売の機会損失となります。発注作業の底上げは、業績拡大につながるのです。
過去の数字通りであれば、コンビニではなくて自動販売機になってしまいます。
自分の店の業績は、自分の判断で伸ばせる、それがコンビニ経営者の自負のはず。過去の情報を活用し推奨品を選定するAIの情報が、コンビニ経営者の売る自信を後押ししているのです。
工場長がしているのも、過去の情報から業績を伸ばす数字の把握です。
ステップ1 自社の現在売れている商品・製品について、単品ごとの個数・製造部品費・労務費をきちんと把握する。
ステップ2 これから発注が出てきそうな部品の予測を建てます。
予測に必要なことが、取引先との毎日の会話です。
取引先の今年度の売上目標と実績。
取引先の売上を見ていれば、予算と実績の乖離から見えてきます。
そこから、当社へどのくらい今後の発注があるか予測するのです。
それにあわせて、勤務シフトも組み立てています。
ステップ3 工員に「1時間あたりいくら作ると黒字になる」と教える事。
少人数で多品種生産を効率よく行うには、「何を」「どのように」「いくつ」が明確に伝わる必要があります。
過去に作った製品の画像や手順を元に、どの手順でどう行うのが、美しく素早く出来るかを試作し、画像で伝えます。
工場全体が、チームとして工場の売り上げを上げる活動をしていると分かるのです。
自社のシステムはAIを使っているとはいえませんが、過去の情報や画像を活用して、効率良く儲ける手助けにするというのは、AI活用の考え方と同様なのです。
「昔は親父と野口先生が話している事の半分は、ワケ分からなかったけど、今は理解できますよ。このままで行けば、このぐらいの数字になるという予想値から、話が始まっていたんですね。目標と予想値から落とし込んで、設備投資や仕入在庫の話をしていたワケだ。」
「ただ話を聞いているばかりでは、自分のものにならないですね、見積もりを自分で計算して自分で説明する。何度かやってみると自信が出ました。すると、不思議にとれるんですよね、契約が。」
数字は、お客様のこと・製品のこと・自社のことを知るための言葉です。
必要な条件をしっかり把握して、正確な数字が提供される。
それが、お客様に 取引の安心感を伝えます。
AIはその安心感を補助しつつ、ますます進化していきます。
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