知財活動の仕組みを創るうえで超えるべきハードル(その4)~企業規模に応じた取組がある~
今回は、「知的財産を生み出し、活用する仕組を作るうえで超えるべきハードル」について、会社の規模の観点から考えてみます。
先日、ある商工会議所の方とお話をする機会がありました。その方のお話によると、会員数は増えてきており、いろんなサービスを提供していきたいとのことでした。
その一方、知的財産に関する仕事がそれに比例しているかというと決してそういう状況ではありません。
例えば、創業したばかりの会社でいきなり知的財産からはいる会社はほとんどないでしょう。もし関わることがあるとすれば、会社名や会社のロゴを真似されないように商標登録するというぐらいだと思います。
これが、事業が軌道に乗り、売上高が5億円を超え、利益を積み立てられる状況になってくると、その売上と利益を確保し続け、さらに伸ばすにはどうするか?ということになってきます。
ここで初めて、知的財産を取得し、自社の事業を防衛しようということになってきます。この段階では、まだ自社内に知財の仕組みを創るというよりも、外部の特許事務所に調査や権利化をお願いしてやってもらうという段階です。
私は現在、売上高数億円の会社のコンサルティングを2社行っていますが、知的財産は単発的に出願・取得していても他社知的財産による事業へのリスクの計測・回避や自社知的財産の取得・活用については全く手を付けていないか、あるいは特許事務所に丸投げという状態でした。
このような状況で、「知的財産が自社の事業にとって重要である」と気付かれただけ前進されているのですが、このような会社はまれです。本当は、このくらいの規模から知的財産活用について独自の仕組みを創っていくべきだと私は考えています。
そして、売上高が10億円を超え、従業員も増え、さらに新規事業に乗り出そうという頃になると、保有している知的財産の数が増え、自社内でも管理運営する必要が生じてきます。また、自社の弱みを補完するため他社との提携・共同開発をさらに進める機会も多くなってきます。
その時に、改めて自社の事業戦略に即した知財体制を創っていく必要性に気付き、体制創りに着手する段階になってくる会社が多いですが、先ほど言ったように、必要に迫られて創るのではなく先手を打って自社独自の知財活用の仕組みを創っておき、会社の成長規模に合わせてそれを改善・修正していく方がスムーズに体制作りができます。
このように、会社の成長段階や規模によって知的財産に対する考え方、使い方、体制が変わってきます。
自社の成長規模に合わせ、適切な知財活動の在り方について考えてみてください。
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