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ビジネスを変えるアンケートの具体策

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

お客様の声を、本音を探りたい。しかし、一人一人にお聞きすることもできないし、少人数の意見では偏るし、、、。そんな時に活用されるのが定量調査のひとつ「アンケート調査」です。

事業規模を問わず市場調査においてアンケート調査は大変身近なものです。

実際に生活者として行くお店のレジ周りやテーブルには必ずといっていいほど「アンケート用紙」が置いてあります。また、イベントやセミナーに参加すれば「アンケート用紙」が手渡されます。これらは、ポストに投函して社長室に行くもの、店内に回収ボックスのあるもの、その場で記入し担当者に手渡し、またQRコードからアンケートサイトに飛んだり、SNSを通してアンケートを実施するなど、さまざまな方法があります。

中小企業においても積極的に実施されている一方、「やりたいけどやり方がわからない」「外注業者にお願いするものだ」という思い込みがまだまだあり、尻込みされる会社が多いのも事実です。単に経費がかかる、手間がかかる、というだけでなく「お客様の声が怖い」という本音もあるのではないでしょうか。しかし、競合他社と激しく戦ってゆく商売の世界です。自社で活用できるようになれば、商品戦略において非常に有効ですので、ぜひ「アンケート調査」に対する考え方を体得していただければと思います。

「アンケート」はもともとフランス語由来の言葉で、「探し求める」という意味のラテン語が語源とされています。語源が示すように、企業においてアンケートを実施して何より欲しくて探し求めているのがお客様の「潜在ニーズ」なのではないでしょうか。アンケート調査に関わるノウハウ本もたくさん出版されていますが、たいていの場合、アンケートをすることで「潜在ニーズのあぶり出しをしましょう」と言及されているのではないでしょうか。とても常識的な内容です。ですが、この言葉に惑わされてはいけません。ビジネスで活きる考え方は「真逆」です。

きっぱりと申し上げればアンケートは「潜在ニーズのあぶり出し」をするためのツールではありません。お客様の「心」「願望」「本音」、、、これらはアンケートではわかりません

「アンケート」という手法は、顧客についての必要な情報収集を目的とした調査のひとつです。調査には二つの種類があり「定量調査」と「定性調査」があります。アンケート調査は「定量調査」に属して、数値化できる情報を収集します。目的としては数字的な裏付けや仮説検証です。定性調査とは「グループインタビュー」に代表されるような、生活者から発せられるナマの言葉や言動など数値化できないデータの収集を指します。量ではなく、少ないサンプル数で実施されることが多いです。生活者の声を探る手法も時代に合わせて大きく変容し、「定量調査」と「定性調査」の垣根がなくなってきているのが実情です。両調査をうまく組み合わせながら、顧客の情報収集を実施していくのが一般的です。

前職の洋菓子メーカーでは、顧客満足度やニーズを探りだすためのアンケートは一切実施しませんでした。それはやっても意味がないことが実証済みだからです。例えば、味に「満足しているか・していないか」というような項目。これらは「愚問」だと言えます。どんな飲食店も洋菓子店も食品を販売しているお店は同じだと思いますが、常識的に考えて、まずいものを販売するわけがありません。市場はモノにあふれた熾烈な戦いの場。店頭に並んだ商品化された洋菓子は一定レベルの品質であることは間違いないです。その大前提があっての「満足しているか?」という問いかけに対して、回答は、個人個人の「感情」や「感覚」「感性」によるものになります。

市場はモノ余り時代です。人間の感情や感覚による欲求は「十人十色」であるのはもちろんのこと、さらに研ぎ澄まされ「一人十色」へと変わりました。簡単に言えば、自分の中に、いろんな欲求を持った「十人の自分」がいる、ということです。さらに、日本人の場合は「本音とタテマエ」を分ける習慣がありますので、感覚的な設問に対する回答から、ユーザーの真意を見いだすことは、極めて難しいのです。

「どんな商品が欲しいか」というような、ニーズを探る「探求型」の質問も注意しなければなりません。仮に質問し、回答に基づいて商品開発や商品のリニューアルをしても、それが注文につながることはありません。この感覚も洋菓子屋時代に実証済みです。例えば「あなたはどんな車に乗りたいですか」という質問に対して「ベントレー」と回答しながらも、実際には大衆国産車を購入する、というリアルに引き寄せてみれば納得できるのではないでしょうか。

以上のようなことから、アンケートを戦略ツールとして使うためには「事実」をもとに設問と回答を得ることがポイントです。アンケートの目的は事実をもとにした「現状の把握と改善」であり、未来の新商品やリニューアルのアイデアを見つけることではありません。

以上のことから例えば、

  •  顧客の属性(男女、年齢、住んでいる地域)
  •  どうやって知ったか
  •  選んだ理由
  •  今困っていること、心配なこと、悩み
  •  改善してほしいこと

などの質問は有効です。

お店を選んだルートの確認ができれば、次のプロモーション施策につながっていきます。自由記載のフリー欄を設けておけば、お客様は素直に書き込んでくれるものです。答えにくいことに対しては「空白」にするので、設問作成に対して神経質になる必要はありません。

実際に、弊社が今まで携わってきたコンサルティングでは「事実」を回答するアンケートを実施・検証することで、次の施策へとつなげて売上増の近道を築きました。それ以上に貴重なのが「自由記載の言葉」です。支援先にとって意外な発見があり、社内のモチベーションが高まる場面も非常に多くありました。

例えば、実施前は「面倒臭い」と言ったスタッフたちですが、本音は「何を書き込まれるかわからないから、やりたくない。アンケートが怖い」ということがわかる。商品サービスへの自信喪失の原因を探るきっかけができ、改善へとつなげていきます。

例えば、仕方なく言われるがままにアンケートを実施したものの、回答ハガキの束に驚き、読みながら「思っていたよりも、商品を気に入ってくれていることがわかって嬉しい。やってよかった!」「お客様が接客を気に入ってくれていると知って自信がついた」と。

さらに「プライバシーのうるさい時代だから答えてくれるわけがない」という思い込みに対しても「思っていたよりも回答してくれた」という実感。また「ターゲット層の20代女性たちがSNSでどんどんアンケートをシェアしてくれ、この層の口コミのすごさを知った」という発見があったり。

このスタッフが口にする「思っていたよりも」という言葉が、非常に重要です。「思っていたよりも、事実、どうだった」の発見と再確認こそが、社内のモチベーションアップにつながり、収益増への一歩を踏み出すのです。「事実は想像より奇なり」です。アンケートは潜在ニーズを探りだすためのツールではない、ということをしっかりと頭に入れて指揮をとってください。

もちろんクレームや改善して欲しいことがあがっていれば、淡々と改善していけば良いのです。アンケートとは、現在の会社やお店の状態を把握して、自社の仕組みがしっかりと回っているかどうかの確認そして改善のためのツールであり、それ以上に「自分たちでは気づかなかった自社の魅力」を発見するためのツール。つまりお客様が教えてくれる「自社の魅力再発見」のツールなのです。「思ったより、、、」どうだったでしょうか。

商品サービスを見直す時、会社の中に「アンケート」をしっかりと活かす仕組みができていますか?

 

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