知財活動の仕組みを創るうえで超えるべきハードル(その3)~使い方を知らない
5月8日発刊の「日経ビジネス」では、先週紹介した事例の他に、大手企業であるダイキン工業株式会社の事例が紹介されています。
その中で、「ダイキン、3つの戦略で"世界標準"をつかむ」というタイトルで空調最大手のダイキン工業の戦略の一端が紹介されています。
ダイキン工業と言えば、空調機器関係で超有名で、リーマンショック以降V字回復を果たし、6期連続増収増益を達成(特に2013年からは3期連続で過去最高業績を更新中)しているすばらしい企業です。私がお世話になった方も知的財産部門に在籍しておられます。
日経ビジネスで紹介されていた3つの戦略とは、新冷媒「R32」を"世界標準"にするために
- 特許の開放
- 国際規格を押さえる
- 新興国での技術指導
ということでした。
記事では、冒頭に「喧嘩の仕方も一流」と書かれていました。
ここからは、私の独自の考えになりますが、ダイキン工業は大手企業でありがちな「特許は守る道具」「特許は持っているだけで事業を保護できる」という発想を全くしていないことがよくわかります。
自社の開発技術や製品は、当然のことですが世の中に普及させなければ全く意味がありません。そのための戦略を充分練った上で、実行すべきことを3つに集約させたような気がします。
知的財産を適切に取得した上で、その使い方を熟知し、活用しているのです。
では、このようなダイキン工業の戦略は中小企業では全く使えないのか?
私はそうは思いません。
例えば、特許の開放は自社技術を採用してくれる企業に対し積極的に参入をしてもらえば市場開拓につながりますし、国際規格を押さえることは、実際に経済産業省が中小企業向けに「標準化」として奨励・サポートしています。
要は、中小企業でも使える戦略や戦術があるのにそれを知らないために、みすみすビジネスチャンスを逃しているのです。
特許をはじめとする知的財産を「守るため」ではなく「事業を成功させるために使う」ものとしてとらえれば、中小企業でも充分使い道はあるはずです。
自社では何を武器にして戦い、どうやって市場を勝ち取るのか?
改めて考えてみてはどうでしょうか。
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