営業力を強化するマネジメント手法
「見込客へのアプローチ・アポイント率や受注獲得率を計測し続け、営業力の強化に繋げて行く方法は、確かにおっしゃる通りです。当社にも早速取り入れたいと思います」
先日に開催した弊社主催のセミナーにご参加頂いた方からの嬉しいご感想です。
私は、セミナーを勉強の場で終わらせてはいけないと思っています。
あくまでも、業績を向上させるために、実践すべき内容を見つけ出す場であるべきだという信念を持ってお話しています。
実践してナンボです。
ぜひ、コンバージョン率管理(アポ率や受注率を記録するマネジメント手法。略称CVR率)を社内の新しい文化として定着させてもらいたいと思います。
ちなみにCVR率とは、例えば通販サイトで、100人がページをみて、1名が購入(問い合せ)をした。従ってCVR率は1%…というように、接触した人数と、意図する成果に結びついた人の割合を計測する計算式です。
つまり、アクションに対する成果の割合です。
当然ですが、管理といっても記録したり、それを基に叱咤激励することが目的ではありません。
あくまでも、次の改善テーマを打ち出す「一指標」と捉えることが大事です。
そして、改善テーマを実践したあとの数値と、前の数値を見比べ、その対策が的確だったかどうか振り返ります。
CVR率がアップする仮説がうまく当たれば、その仮説をもっとブラッシュアップして、よりコンバージョンを高めることは出来ないか?
逆効果だった場合には、なぜ以前の方が効果的だったのか…を振り返り、また新しいアイディアを打ち出してみる。
こうした繰り返しを行うことで、市場との対話ができるようになり、必然的に業績はあがっていくのです。
では、具体的にどのようにマネジメントしていくのか?
少し解説してみましょう。
例えば、テレアポによって見込客を開拓している企業があったとしましょう。
テレアポは、架電するリストの質によってアポ率は大きく変わっていきます。
- データバンクのようなリスト会社から購入したリスト。
- 求人情報紙
- タウンページ
- 業界専門誌
などなど、売り手が提案する商品との相性も関係しながら、各リストの質によって、アポが取れやすかったり、取れにくかったりするものです。
私の経験値では、1%の媒体と、80%の媒体といった感じで、アポ率に80倍もの開きがあったこともありました。
どのようなアタックリストを手に入れていくか…。
ここが最初のカギを握っていくわけです。
次に、トークスクリプト。
いわゆる架電をするときの「台本」です。
この「台本」はテレアポの必需品です。
なぜなら、アポ率の変化を振り返る「目印」になるからです。
トークスクリプトの変更によって、当然ながらアポ率は変ってきます。
何時から何時までが、トークスクリプトA。
何時から何時までが、トークスクリプトB。
というように、コンバージョン率管理表と一緒にファイリングしていれば、どのようなスクリプトを作り込めば、アポ率が高まるのか、経験値を客観視することができます。
また、テレアポは、いきなり架電するよりも、アプローチレターやDMと同時に実行した方が効果的なのは、すでに様々なケースで立証されています。
アプローチレターとは、第一コールの目的を「資料送付許可」だけに絞り、担当者の割り出しと送付宣言を行います。
次に、手紙を投函し、到着を見計らって、再度電話をするといった具合です。
テレアポでは、内容の伝達率が良くても2〜3割ですが、手紙であれば7〜8割は内容を伝達できます。
確度が極めて高い訳です。
ヘタな鉄砲を撃つよりも、少ない球数でも効果的なアタックをした方が、社員も疲弊しません。
このときも、アポ率の計測をしていれば、どちらが生産的か一目瞭然となります。
そして、アポが取れ「商談」がセッティングされたあとの受注率の計測も重要。
商談数に対して、受注件数は何件だったのか。
- その時の提案書は?
- エビデンス資料は?
- 提案商品の見え方は?
受注に影響をあたえる要素を洗い出し、どのような施策を行えば受注率が向上するのか?
計測結果と照らし合わせながら、仮説—検証を行うことで、業績は着実にアップしていきます。
「なぜ、予算達成できないのか!」と叱咤激励するだけでは、営業現場は固まってしまうだけです。
「アポ率をあげるには、何をすればよいのか?」
「受注率をあげるためには、どのような武器を準備すべきか?」
考えさせるキッカケを提供することが大事です。
すでにお分かりかと思いますが、このコンバージョン率管理は「考える営業部」をつくり出します。
なので、冒頭の方は、「営業力を高めて行く方法」という捉え方をしてくれたのです。
アポに限らず、見込客を発掘するためのリードすべてに、このようなマネジメントを行えば、営業部全体の活動が本質を射抜けるようになっていくでしょう。
- テレアポ
- 飛び込み
- DM
などのプッシュ戦略だけでなく
- ホームページ
- 広告
- 展示会
などのプル戦略すべての施策を記録するわけです。
御社では、営業推進、マーケティング、営業部隊のすべての「見込客発掘プロセス」において、数値を記録し、その数値改善を行う努力をしっかりと行っているでしょうか?
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