事業化のスピードと知財活動の仕組み
「後藤さん、このビジネスモデルを早く事業化していきたいんですが、一方で
他社に真似をされたくもありません。事業化のスピードと知財の進行をリンクさせたいんですよね・・・」
これは、先日訪問し、コンサルティング前のヒアリングを行った際に、その会社の社長さんがおっしゃった言葉です。
旧来の「自社の技術力を生かした下請け型企業」から脱却すべく、「開発型企業」へ脱皮しようとしている会社が増えていますが、そういう企業の経営者が持つ悩みの一つが「開発は早く進めたいけど、知財の進行が追い付かない」ということです。
もう少し具体的に言えば、
- 製品やビジネスモデルの開発は他社に先駆けて行う必要があるため スピードが要求される。
- 一方、製品やビジネスモデルに活用する知的財産の創出や 他社知的財産の調査・分析には所定の時間と工数がかかる。また、その結果によっては開発にブレーキをかけないといけない場合が生ずる。
- この相対する状態をどう解決するか?
が開発型企業での課題の一つになっているということです。
上述の企業の社長と協議した結果、今回は企業サイドで先行して他社知的財産の調査を行い(過去に行った実績あり)、その結果をどう分析・評価するかについて私がアドバイスし、事業のビジョンと戦略と分析結果を踏まえて開発の進行に合わせて知的財産を取得する仕組みを作ることとしました。
通常はビジネスモデルや開発製品をどうやって知的財産という形にするかを検討するほうが先になるのですが、状況によっては調査を優先する場合もあるというのが上述の例です。
事業戦略の中に知財活動を仕組みとして取り入れるためにはやはりそれなりの順序がありますが、それはあくまでも「開発の進行をむやみに妨げない仕組みになっている」必要があります。
「まだ調査が終わっていないから進行を待ってほしい」
「知的財産を出願していないから営業活動をしないでほしい」
というのは基本的に通用しません。知的財産活動はあくまでも事業戦略実現のためのサポートであるからです。
よって、場合によってはまず時間のかかる他社の知的財産調査を行い、生み出すべき知的財産の出願を前倒しで行ってから安心して開発に取り組むという順番もあり得ます。
事業や開発の進行と知財活動を切り離してはいけないですし、知的財産本位での活動も企業内ではあってはならないことです。
事業を進める上で大事な知的財産活用ですが、あくまでも事業の進行を妨げないように仕組を構築してください。
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