「知らせること」の本質的な意味について考えてみる ―「誰に」向かって「何を」知らせるのか―
「情報発信」或いは「アウトプット」が大事、とこれまでいろいろと書いてきましたが、その本質的な意味についてもう少し深く掘り下げてみましょう。
私はこのコラムで、
― 社長は仕事に対する思想信条、取り組むときの姿勢、考え方などを、現在経営している事業活動に投影させているはずです。
その思いや日常の活動を外に向かって上手にアウトプット(情報発信)すれば、そのことそのものが事業の強力な販売促進活動になりますよ。―
と、お伝えしてきました。
これに対して
「何故そんなにアウトプットが大切なんだ。そもそも、私がどこの誰で、どんな事業をしていて、大体どんな考えなのかくらいは、知っている人はみんな知っているだろう。こっちだって、世間からどう見えているかはおおよそ見当がつくし、そんなことがそれほど重要とは思えない。」
といったご意見を持つ人もいるかと思います。
ただしそれは、自分でもおっしゃっているように「あなたを知っている人は知っているだけ」の話です。
さらに言えばそれは「あなたが知っているあなたを知っている人たち」だけに通じる話なのです。言葉がややこしくてすみません。
何を申し上げたいかというと、私がお勧めしたいのは、そんな狭い範囲のお話ではないということです。
もっと広い世界に、ストレートにあなたやあなたが取り組んでいる事業を売り込んでいこうよ、というお話なのです。
そのために、こちらが発信したい情報を整理し、ある程度ボリュームも持たせておけば、いつでも、しかも継続的に発信し続けることができますよ、という提案なのです。
ただ、その前段として、最初からいきなり大量の情報をストックしようとしてもまず不可能です。「そうか、じゃあ事業についての資料やデータ、それから書き下ろした文章などをたっぷりと用意しなくちゃいけないなあ・・・」などと考えていたら、おそらくいつまでたっても始まりません。
そういうやり方ではなく、自分はどういったことをアウトプットしたいのか、ということの「方向性」を大枠で決めたならば、まずは「出せる情報」からSNSなどを通じてどんどん発信していきましょう、とご提案しているのです。
但し、この「方向性」の決め方は極めて重要な要素になるために、自分だけで考えるのではなく、客観的な判断のできる専門家のアドバイスが必要ですよ、と申し上げているのです。
さて、そうやって発信し続けた情報は、次第にストックされて大きな財産になっていきます。
この大切で大きな財産を形成していく「出せる情報」の整理、判断ということも当初結構難しい作業になります。
そのために、この場面においても、長年こういったことに取り組んできた専門家の的確なアドバイスが必要とされるのです。
それでは、経営者のアウトプットを届けたい「もっと広い世界」というのは、どういう範囲のどういう世界が想定されるのでしょうか。
私が具体的にお勧めしているのは地方メディア(地域FMやローカル紙)の継続利用という方法論です。
地方メディアでの情報発信が可能となれば(つまり出演や出稿ができれば)その電波の届く範囲、ペーパーの配布されている範囲などがその想定エリアとなります。
ローカルなエリアとはいえ、現在の商圏よりははるかに広くカバーされるはずです。こういった旧来のメディア利用であれば、そのメディアの届くエリアが、アウトプットが影響を及ぼす範囲として想定することができます。
それに比べて、エリアの設定という意味ではSNSの世界は独特です。インターネットは世界と繋がることができますので、想定としては、どこまでも広げて考えてもいいことになります。とはいっても実際は、自分の人脈の範囲が主な想定内エリアとなるはずです。
人脈の濃さという点から考えれば、やはりより近い所からその及ぼす影響力は大きいのではないでしょうか。それでも、SNSの場合、発信内容が非常に興味深く、抜群に面白いとなれば大化けする(全国レベルでいっきに拡散する)可能性もあります。
いずれにしろ、今の商売がカバーしている商圏よりはかなり広めに発信した情報が届くので、これまで想定していなかった新しい顧客の開拓につながるはずです。
もちろんもともとの顧客であった人たちにも同じ情報は届くことになり、よりあなたやあなたの事業に対する理解が深まることになります。
この「理解が深まる」ということはプラスに働くことはあっても、マイナスに作用することはまずありません。
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