【No.1】表情と柄、自社事業との一致まで考えたネクタイの選び方
「山川さんから教えてもらったことを、ずっと実践していますよ」と、にこやかに声をかけてくださったのは、ある経営者向け講演会で数年ぶりにお会いしたAさんです。
最後にお会いしたときと比べると、ふくよかだった体型がスリムになっていてとても若々しい印象。よくよく聞いてみると、半年かけて食事の量を少なくして、今の体型にしたとのことでした。ご本人はウエスト周りを気にして始めたそうですが、とくに顎周りはすっきりとして、肌のハリツヤもよく、とにかく穏やかで健康的な印象になっています。
そんな姿を見ながら、思い返してみると、私がAさんへレクチャーしたのは、もう5年以上前のこと。ふくよかだった30代のAさん、その頃は若手のリーダーでしたが、40代となった現在は、関連会社の代表取締役となっています。ご無沙汰している間に、ご自身にも環境にも大きな変化があったのです。
ビジネスシーンの男性のスーツの場合、いつの時代も変わらない不変的なルールがあります。その基本を踏まえたうえで、「ポジション」「年齢」「体型」を考えてアレンジすることが必要になります。年齢が上がったので「より高価なものを着ましょう」という単純な意味だけではありません。ポジション、年齢、それに加えて現在の体型に合わせて、自分なりのアレンジをしなければいけませんよ、ということです。
わかりやすい例でいうと、ネクタイの柄。
まず、社長や経営層の方々に聞きたいのは――
「新入社員がつけるようなネクタイを、今でもつけていませんか?」。
新入社員がつけるネクタイって?というと、例えば、ブルーのストライプのネクタイ。ブルー系は誰にでも似合うさわやかな色ですが、太めの水色と紺色のストライプは、なんとなく社会人になって最初の1本というイメージはないでしょうか。 若い人に似合う柄と若々しく見える柄は違います。このあたりの違いを知っておくことは大切です。
もともとストライプは、“戦う”イメージの柄といわれます。新たに社会に出て、意気込んでいる若手の方がつける柄としては良いですが、年齢も経験も積んだ方が日常的に敢えて選ばなくてもよいのではないかと、私個人的には考えています。もちろん、仕事は戦いだ、という方や、敢えて“戦闘モード”を出すときに、意識的につけることはモチベーションアップにつながるかもしれません。
袖丈やシャツの長さをはじめ、しっかりと基本を押さえていたAさんですが、この日は水色と紺の太いはっきりしたストライプのネクタイでした。年齢とポジションが上がれば選ぶストライプも変えることが必要。細かいストライプの折柄やあえて落ち着いた色合いの組み合わせ、そんな高級感や安定感を感じさせる1本を選ばなければいけません。
「たかがネクタイ・・・」とお考えの社長、いえいえ上半身で目立つのは顔とネクタイの柄。さらに写真となるとごまかしがききません。表情と柄、自社事業との一致まで考えたネクタイの選び方、重要ですよ。
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