「売上を伸ばしてもお金は残らない」
こんにちは、KRBコンサルタンツの椢原です。
もうすぐ4月ですが、神戸の桜はまだ蕾です。
暖かい日も増えてきましたから、そろそろ蕾が開くと思いますが。
みなさんの地域ではどうでしょうか。
なかなか暖かくならないことから、季節環境の変化の影響を受けるアパレルや靴などのメーカー、卸、小売店では、3月の売上や利益が大変な状況になっているようです。
先日もアパレルや婦人靴のクライアントとの月次コンサルティングの中で、この状況についての話題になりました。
しかし、このような中ででもきちんと黒字を出している会社があります。
- 売上減少のため赤字決算の連続。
- 経理責任者による多額の横領。
- 経理担当者の中途半端な知識と顧問税理士のいい加減な指導で、数年以上にわたって粉飾決算。
- 弁護士からは、破産か民事再生しかないというアドバイス。
- 実際の財務資料以外に金融機関向けの財務資料を作成するなど、経理が二重資料を作成。
- 資金繰りは苦しく、金融機関だけでなく、仕入先からも多額の借入。
- 銀行からは自社LCをクローズされ、外部に輸入代行を依頼。
- その結果、高いLC代行手数料で、粗利率粗利額ともに低水準。
- 資金繰り悪化の中、やむを得ず元本返済猶予、いわゆるリスケに突入。
大変な状況の会社です。
実は、これは、本当に存在する会社の話です。
このままでは…どうなるのか…。
倒産してもおかしくありません。
しかし、このような状態から3年後、会社は見事に再建しました!
今期は、1億近くの経常利益を出し、経常利益率10数%です。
LC代行を止めて、TT決済ができる状況に。
粉飾も是正し、金融機関に説明。
経理体制も再度構築。
試算表は翌月10日までには完成。
資金繰り表もタイムリーに更新。
リスケは継続中、でも、返済を開始。
銀行から信頼を回復。
リスケ交渉は、何ら支障なし。
債務超過も解消見込み。
来年にはリスケ脱却さえも視野に。
次は、事業承継と相続、そして連帯保証を同時に解決する対策に取り掛かる予定です。
これが「再建」です。
この会社が行ったこと。
それは、売上アップではありません。
売上を伸ばしてお金が残るのは、売上が1億以下のスモールカンパニーだけで、1億を超える中小企業は売上を伸ばしてもお金は残りません。
では、この会社は何をしたのか?
詳しいことは、今後もお伝えしたいと思いますが、今日はポイントをお伝えします。
例えば、経費を減らすことに取り組む際に、どういう風にみなさんは取り組みますか?
予算を立てる、数値で指示をする、いろいろ方法はあると思います。
一番効果のある方法は、毎月の経費において、何に、どこに、どれだけの支払いがあるのかを、「毎月」「経営者」「幹部社員」で把握する。
ここで大事なことは、
- 誰が、どの部署が
- どこに
- いくらのお金を
- 使っているのか
を全員で把握するということです。
お金が残らない会社の多くは、「誰が、何に、いくら使っているのか」がわかっていません。
わかっていないから、お金を使うのです。
在庫を例に挙げると。
在庫があるのに同じものを仕入れてしまうということがあるという場合。
だから、在庫管理をしましょうと言って、在庫をチェックするようにする。
これで、同じものを仕入れるということがゼロになると思いますか?
実は、ゼロにはならないんです。
なぜだかわかりますか?
それは、同じものを仕入れているという事実とそれが引き起こしている影響(お金が減っているということ)を把握していないからです。
組織や人というのは、解決策だけを与えられても行動できません。
理由によって、行動するのです。
解決策の一つである在庫管理に取り組む前に、事実とその影響を把握することが、この後に取り組む在庫管理の成果を左右します。
よく取り組んでも長続きしない会社、成果がでない会社はこれが原因なのです。
①事実
②その影響
③共有
このプロセスを省略すると、経営改善は成功しません。
いくら頑張ってもお金は残らないのです。
すぐに成果がでないから…
目新しい方法ではないし…
こんなことを考えているようでは、いつまで経ってもお金を残すことができる会社にはなれません。
お金を残す会社を作り、利益を出せる会社を作った経営者は、経営には近道がないことを知っています。
あなたも近道せずに、しっかりとお金を残す会社を作りませんか。
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