7つの敵(競合サイト)と比べてみれば、自社の強みもハッキリする。
「自分の欲でね、地元の特産品をお客様に美味しくない!と言われたくない。形が悪い特産品だって無駄にしたくないと思い、新製品を作り出そうと言うことになったんです。県や大学の協力も得ていいものが出来そうですよ。
そこで相談ですが、どうやって売ればいいですか?」
人から紹介されたと来社された経営者は、取り合えずコンサルタントと名前がついているから、なんでも聞いてくれるのでしょう、と話しだしました。(苦笑)
相談者は、地方の高級特産品を観光客に提供する飲食業をしています。
特産品は自然の産物ですので、A級品もあれば、B級品も存在します。
残念な事に、「高級」という冠が着いているとB級品は、お客様に提供できません。
B級品は、形がワルイ・色が不鮮明と日本人ならではの基準で選ばれた特産品です。
「もったいない」と思っても、これを安い値段で提供すれば、結果A級品のブランド・価格まで引き下げてしまう事になりかねません。
特産品のブランドを守るためには、地域全体で高級品の価格と味と姿を守っていこうと考えたのが、B級品を使った発酵食品の製造でした。
県・大学の援助も受け、補助金も受け製品化が進んでいきました。
最初は、自分の提案が県の職員に取り上げられ、さらに大学教授の協力を得られて、何か自分が認められて製品が出来上がると嬉しく、夢溢れる事であったのに、次第次第に不安感が出てきます。
「売ること」を全く考えていなかったと気づいたのです。
どこから手を付けていったらいいのか?
どこで売れるのだろう?
いったい値段は、いくらにすればいいのか?
売れている状態を想像することが出来なければ、経営者とて尻込みです。
成功のビジョンを持つには、成功している情景が思い浮かぶこと。
成功している競合他社のサイトは、自社のビジョンを描くためのモデルです。
ありがたい事に、地域の特産品を使った新しい商品ではありますが、世の中にはこちらがまねをしたいいい商品がたくさん出回っているものです。
地域おこしで販売戦略を立てている商品もよく見かけます。
IT時代は、大量販売できない商品が、もっともよく売れる時代になりました。
店舗では売れずにホコリをかぶりそうな商品が、ネットでは売れるのです。
同じように特産品を使った発酵食品を扱っているサイトを7件見つけて、調べることから初めてくださいと、助言しました。
サイトを見て、より自社の製品に近い競合しそうな製品を、それぞれのサイトで各一品購入していただく事もお願いしました。
成功している事業体のサイトは、ターゲットの目線から必要な情報が提供されています。だれが買ってくれる人なのかは、お客様の声に登場する人たちです。
値段と利用方法の情報も、お客様から賛同を得ている情報です。
実際に製品を買ってみる事で、販売の方法を具体的に知る事ができます。
包装・配送は、製品に対する心使いが、見える部分でもあります。
自社製品の差別化は、他社製品と比べる事で初めて理解できます。
お話をしていくうちに、相談者の方が笑い出しました。
「そうですよね、自分たちでも使い方が分からない商品なんて、誰も買ってくれませんよね、原料が高級品だから値段が高くて当たり前と思っていました。でも利用価値があっての事ですものね。」
年間の製造可能ボリュームや製造原価など、販売に至る基本的な数字を全く持たずに相談に来てしまったと笑い出したのです。
いい製品を作る職人気質の方ですが、商売をするには、販売のための情報をそろえなければいけないと理解されました。
「競合サイトの製品情報と同じポイントで自社製品のウリを書き出す事ですね。」
さすがです!よく分かっている人だと感心しました。
その上で、メディアに出る機会がないかな〜、とつぶやくと、
「あっ、その番組来月取材が入っている!」
なら、そこからアプローチです。
原価度外視で使ってもらって、利用方法をお客様から教えてもらうチャンスです。
新製品がすべてヒットしたら皆御殿を建てられます。
「千三つとはいい言葉ですね。本当にそうです。ボクも月に200件は新作を考えます。」
と教えてくれたのは、某調味料会社工場長さんでした。
「200件も?」
「そう、そのうち1とラインにのせて、定番になるのは年に2〜3件、競合製品との違いをしっかりだせれば、ウチらしい商品になります。新製品はむずかしい。」
自社のよいところ自社製品のウリを書き出すのは、難しい事です。
そんなときは、敵(競合他社)を選び出しましょう。
ぜひ7社選んでください。7つの数字があなたにヒントをくれます。
ターゲットを誰に絞っているか?
一番のキャッチコピーはなにか?ウリはなにか?
値段は?
販売方法は?
配送はどうだろうか?
実際に購入して、製品の完成度は?
購入後のフォローはどうだろうか?
敵の強みを知る事は、己の弱点も知る事です。
数字も情報もまとめてみます。その上でまた、とお帰りになりました。
新たな自分の強みを生かしたサブカテゴリーを作るには、敵の力も借りましょう。
自社の強みは、他社との比較から見えてきます。
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