決算書がわからない社長が勘違いする盲点とは?
会社の経営状態は、決算書に数値で明確に表れてきます。いいことも、悪いことも、すべて「数字」という結果になって現れてきます。損益計算書は、1年間の業績を表したものなので、あくまでも「1年間の結果」ですから、どちらかというと瞬間風速的な側面が否めません。それに対して、貸借対照表は、創業以来の「過去からの積み重ね」です。したがって、一言でいうとゴマカシが効きません。
貸借対照表には、「会社に、どれぐらいの資産があるのか?」「借金は、あとどれぐらい残っているのか?」「手元の資金は、本当に足りているのか?」などが現れてきます。つまり、会社の懐事情が丸見えになっているのです。
見る人がみれば、「あっ!この会社お金で苦労しているな~」とか「この会社、羽振りがよさそうに見えるけど、実際の経営は苦しいんだろうな~」「この会社の社長は、きっと財務わからないんだろうな~」ということが一目瞭然です。
ところが、当の社長本人は、自分の会社の決算書なのにも関わらず、「自分の会社がどうゆう状態なのかがよくわからない」と多くの場合、感じているものです。例えるならば、あたかも鏡に映る自分の顔がみえない状態といったところでしょうか。しかし、社長自身が、自分の会社の状態を決算書から読み解けないとしたら、当然、その先にあるべき「正しい経営判断」を下すこと自体が、難しくなります。
貸借対照表は、元々、すべて現金からできているものであり、資産というものにカタチを変えた瞬間、多くの場合「価値」が変動します。そして、それは、帳簿上には、現れてきません。したがって、その「価値」がプラスになるものもあれば、マイナスになるものだってあります。収益を生む金のタマゴ的資産になるものもあれば、持っているだけでお金がかかる金食い虫的資産になるものだってあります。したがって、どんなにたくさん資産が帳簿上に計上されていたとしても、それが実質的な価値「ゼロ」のものなら意味がないのです。
決算書がわからない社長は、資産がたくさん計上されていることでなんとなく安心してしまいがちです。ですが、それは間違いであるということに気が付くべきなのです。あくまでも経営の本来の目的は、お金を増やすことです、お金を残し、増えていくからこそ、会社の未来をつくるための「投資」にお金を回せて、その結果、社員や家族を守りぬくことができるのです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。