第38号:伝わらなければ無いのも同じ。企業の価値を伝える上で大切なこと
注文住宅の建築会社様から経営相談を受けたときの話です。「自社の価値がなかなか伝わらないが、何が悪いのでしょうか」というご相談でした。そこで、御社の価値を教えてくださいと尋ねたところ、自社の強みをいくつも挙げられました。
ホームページなどでも「自社が選ばれる理由」などといった強みを強調したウェブサイトがたくさん見受けられます。そこには大きな間違いがあります。自社が強みとする価値がそのまま顧客から見た企業価値だと思い込んでいるわけです。ですから、強みを強調してしまうのです。
価値とは、企業の強みではありません。お客様にとって自分の問題を解決してくれる企業が、消費者にとって価値のある企業です。お客様の関心事は、お客様自身の問題を最も的確に解決してくれる企業はどこなのか、なのです。
しかし、近年は消費者ニーズも多様化し、それにともない選択肢も相当数増えました。ネットを検索し情報収集すれば魅力的な情報が溢れています。そのようななかで、お客様自身が自分にとって何がベストな選択なのかが、わからなくなっています。自分にとって何が最適な選択か、何を判断基準にして企業を選択すれば良いのか、自分にとって何がふさわしいのか、自分自身、理解できてないということが、実はお客様にとって最も大きな問題になっているのです。
お客様にとって価値が高い会社とは、他社との違いを訴える会社ではありません。顧客の立場に立ってアドバイスしてくれる会社こそが価値の高い会社です。
注文住宅会社さんであれば、お客様の立場に立って、どんな家づくりをすることが大切なのか、資金計画であったり、住居地域の情報であったり、自分にとってふさわしい家とはどんな家なのか、プロの目線で的確に最適なプランをアドバイスしてくれる会社です。ですから、完成した家以上に、自分にとって最適な家を建てるためのプロセスにおいて差が出ます。
そのためには消費者を絞り込み、そのお客様が自分の家を建てるときに、どのようなことに不安を感じ、どのようなことに喜びを感じ、何に気をつけるべきなのか、顧客視点に立ってサポートしていく体制を整え、アピールすることです。きちんとした顧客視点のプロセスをアピールすることで自社の価値が伝わりやすくなります。
自社の商品の強みをアピールすることだけにとらわれず、顧客視点に立ったサービスを強化し、顧客の立場に立って購入プロセスをサポートして、価値を伝えていきましょう。
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