お客様は、情報を食べている
キンキンに冷えたグラスに、なみなみとつがれた琥珀色のビール。仕事が終わった後や、ゴルフの後は格別のうまさです。
ところが、ビールが検尿のコップに入っていたらどうでしょう?中に注がれれているのが、全く同じ美味しいビールだとしても、飲むことに抵抗を感じてしまいます。
なぜ、そう感じるかと言えば、脳に刷り込まれた常識や情報、そしてイメージがあるからです。
健康診断をしたことがあれば、検尿コップからイメージするものがあります。それがビールととてもよく似ているために、飲むことをためらわせてしまうのでしょう。
これと同じようなことが、他にもたくさんあります。
「松阪牛」と書いてあったので買ってみた。食べてみたら「さすがに松阪牛だから美味しかった」と満足をした。ところが、後になって「松阪牛」ではなく、「単なる国産の和牛」だったことが報道されると、お客様は「騙された」と怒り心頭に発します。
この肉を食べた瞬間に「これは、松坂肉ではない!」とわかれば、すぐに販売店に対してクレームをつけることができますが、食べただけで、産地の偽装を見分けられる一般の方でまずいません。
あくまでの食品に表示されている産地を信頼して買っているわけですが、松阪牛が高くても買ってしまうのは、「松阪牛」=「最高級の牛肉で美味しい」、そんなイメージがあるからです。
もしも、松阪牛ではなく「国産和牛」と表示されていたらどうでしょうか?充分に美味しかっただろうと思いますが、「松阪牛」という情報があったからこそ、一層美味しく感じていたのです。
そうです、情報は美味しさを強化します。
これと正反対のこともあります。寿司屋のカウンターで、マグロの握りを食べながら、お客様が一言「大間のマグロが食べたいな」とおっしゃいました。
職人は、「大間ありますよ、握りましょうか?」と声を掛けると、お客様は二つ返事で「お願い」とうれしそうな顔になりました。
大間のマグロを頬張りながら「やっぱり、大間のマグロは旨いね」とお客様は大満足です。
ところが、はじめに出したマグロも、「大間のマグロです」と言って出したマグロも、どちらも大間のマグロだったのです。職人さんが遊び心を出しただけなのですが、お客様は違うマグロを食べたと思っています。
同じモノでも、情報が加わるだけで、こんなにも美味しさは変わります。
ネットが発達したことで、食べログなどの口コミで評価の高い店、グルメな芸能人が美味しいとSNSで紹介した料理なども情報であり、お客様がこの情報を目にした時点ですでに、情報を食べています。
そして、「きっと美味しいだろう」と期待をして注文をします。自分自身の味覚の基準を持っている少数派の方は、ご自分の舌で判断できます。
しかし、多くの方は「すでに情報を食べています」から、実際に料理を食べたときも「これが不味いはずはない、絶対においしんだ」と思い込ませてしまうのも、また情報の力です。
そのために、お店としては常に情報を発信して、お客様に「美味しい」という情報を食べてもらっておくことが必要です。
特に、出前・宅配では、お店でお客様に料理の情報を伝えることはできませんから、販売促進ツールなどで情報をお客様に伝えていくことが必須になります。
あなたのお店では、お客様に情報を発信しつづけていますか?
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