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「あなたは、これだけをやってください。これ以外の業務は、やらなくていい。」社員を追い込んであげなさい。

SPECIAL

年商10億事業構築コンサルタント

株式会社ワイズサービス・コンサルティング

代表取締役 

指導暦18年、これまでに200社以上の実務コンサルティング実績を持つ経営コンサルタント。「10億円事業構築」に強みを持ち、直近5年では、導入後数年で年商数億が10億越えをした企業は20社以上と驚くべき成果を出している。

「矢田先生、新商品の売れ行きが悪いのですが?」

住宅関連サービス事業、社長の言葉です。

「先生のご指導の通り商品化もしっかりできています。絶対売れるはずなのですが。」

社長の言われる通り、十分に年商10億を狙える商品に仕上がっています。矢田は、そこで1点確認をさせて頂きました。

「社長、その新商品に、誰を専任させていますか?」

「営業担当は4名います。」

「専任は?」


「あなたは、これだけをやってください。これ以外の業務は、やらなくていい。」

このメッセージをしっかり社員に伝える必要があります。
これが伝わっていない会社は、弱い。むちゃくちゃに弱くなります。

これが分業の根本的な目的(趣旨)であるからです。

この業務をしっかりやってください。
この分野で専門家になってください。
この目標を達成してください。
ある仕事に対し、集中させることこそが、「分業」の趣旨になります。それにより、スピードと大きな成果を得ることができます。

これは、どんな世界でも同じです。
プロ野球選手は、野球ばかりをやってきました。
受験生は、受験勉強にその時間の多くを使います。
人は、どれもこれもは無理なのです。何かを成す時には、それに集中しなければいけません。もし、そこでサッカーもやりたい、絵も習いたい、となれば、それだけで分散することになります。

この「集中する」ということを、会社の分業としてやっているのです。

若手A君を、営業担当に任命しました。
任命することにより、早く営業の能力が高まります。
また、営業で成果を出すために、自らその方法や能力向上を考えます。
そして、その結果、成果が出ます。
そのサイクルこそがA君の自信になり、仕事のやりがいになってきます。この過程でこそ、人としても成長できるのです。
そして、その会社および社会の中で、存在意義を得ることができます。

だからこそ、「これだけをやってくれ、これ以外はやらなくていい」となります。
これが正しいのです。彼のためには、他のことをやらせてはいけないのです。


そんな彼にいろいろやらせれば、成長が遅れることになります。
「後輩のB君の育成を頼む」、「多くの会議に参加させる」、「業務の改善に参画させる」

このような仕事を振ることは、必要ではあります。しかし、タイミングを考える必要があります。
彼が営業でしっかり成果を出してからにしてください。
出していないうちに、この類の業務を振れば、「これだけをやってくれ」というメッセージが弱まることになります。
彼の意識もその業務に引っ張られることになります。
そして、営業業務に5割、B君の育成に2割、会議に2割、業務改善に1割という割振りになります。

野球の基本もできていない、打てない、守れないという状況で、「後輩の指導」などは無理なのです。成長も遅らせることになります。いつまでも、成果も出せず、存在意義を得ることもできません。

営業担当が、営業で成果を出せなければ、彼のこの会社における存在意義は有りません。開発担当でも、新商品を開発出来なければ、同じです。彼の成長のためには、「これだけをやってくれればいい」という状況に、追い込んでやることが必要になります。


各部門の存在意義も同じです。
営業部は営業で成果を出せ、開発は開発で、製造は製造で、成果を出せ。

そして、単年度目標も同じです。
「今期、営業部は、この数値目標を達成してくれ」
「開発部は、今期、新商品を3つ市場に投入してくれ」
「営業部長は、案件管理の仕組みをつくってくれ」
「製造課長は、不良率を〇%下げてくれ」

単年度目標を設ける趣旨も「あなたは、今期、絶対にこれを成し遂げてくれ。これ以外はやってくれるな(維持程度でいい)」というものになります。だから、具体性が必要なのです。だから、目標が沢山あってはいけないのです。業務の掛け持ちもよくありません。

この分業の趣旨を邪魔してはいけません。
間違えても、社長自ら分業を壊してはいけません。
もし「営業の成果がでない」、「開発案件の進みが遅い」、「期の目標が達成されない」いう状態がある様なら、『他にいろいろやらせすぎ』を確認してみてください。きっと、その業務にしっかり集中していないはずです。他に逃げる言い訳を与えてしまっているかもしれません。

野球がまだまともにできない選手に、いろいろ与えてはいけません。
受験生に、別の誘惑を与えてはいけません。
彼らが、それに集中し、成果が出る様にサポートするのです。


冒頭の住宅関連サービスの会社では、営業4名に「既存商品の営業」と「新商品の営業」をさせていました。そのため、当然、売りやすく顧客がいる既存商品の営業に流れていました。

その後、営業担当を新たに1名補充し、新商品の営業に2名を割り振りました。
あれから2年、その新商品は月商2千万円ほどに成長しています。

あなたは、これだけをやってください。
この分野で成果をだしてください。
この分野で早く成長してください。
この道以外で、あなたの存在意義はありません。
そして、当社の武器と言える人材になってください。

そのメッセージが正確に伝わっている会社では、良い意味で社員を追い込みます。
それが会社の強さになります。

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