社長のための権限掌握・統治戦略のツールとは?
いわゆる高度経済成長期に会社を創業し、日本経済の成長に伴って売上を増やす経営手法で会社を大きくしてきた社長の多くは、経営計画などの数値計画を嫌がる傾向にあります。
特に、オーナー社長のKKD経営(いわゆるカリスマ的オーナー社長の勘・経験・度胸に依存した経営をいいます)が染みついた企業体質の場合は、数値計画どころか、自社の現状を把握するための月次決算そのものが機能していなかったり、あるいは、決算は年に1回のみで顧問税理士が決算を締めてくれないと今期の業績がわからない・・・という会社も数多く存在します。
そんなこともあって、中小企業、特に同族会社で、経営計画を作成して、本当の意味で活用できているというところは、100社に1社ぐらいの割合といってもいいぐらいなのではないでしょうか。
あくまでも、経営計画は、変化の激しい時代の中で企業の成長のスピードを加速し、社員とともにPDCAサイクルを回していくための仕組みとして活用されるべきものです。
つまり、経営計画は、銀行から融資を引き出したり、補助金をもらったりするためのツールではなくて、会社組織内での「責任」と「権限」を分散管理する「社長のための権限掌握・統治戦略のツール」なのです。
ここで最も大切なことは、社長は、「そもそも数値化していないものは管理できない」という現実から逃げてはいけないということです。逆を返せば、例えどんな状況にあろうとも、数値化されているものはいずれ必ず良くなるものなのです。なぜなら、「どうしたら良くなるのか?」を全員が必死に考え抜くからです。
当然、どんなことであっても数値化すれは、「実績値」と「計画値」に乖離が出てきますし、計画を達成できなかった時の責任を社長が負うことになります。しかし、それはどんな会社であっても同じことです。どんなことでも数値化すればするほど、それは必ずより良いものになっていきます。
だからこそ、強く永く勝ち残る会社の社長は、自社の未来の貸借対照表(BS)・損益計算書(PL)を社長自らの手でつくる手間を惜しまないのです。
経営計画そのものは決してムダなものではありません。問題なのは、正しく活用しないことであり、自社の未来に正面から向き合おうとしない社長自身の姿勢そのものが問題なのです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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