なぜ、財務は社長のための実務なのか?
多くの社長は、「顧問税理士は、自分の会社のお金のことは全部わかっているはず」という風に考えがちです。このような場合、社長は、「顧問税理士だったら、税金のことだけでなく、それ以外の分野に関してもアドバイスをくれて当然だろう!」と考えます。
しかし、実際のところは、そうではないのです。
これは、会社と税理士との間で締結している「税務顧問契約書」にも明記されている部分ですが、あくまでも税理士に依頼している業務は、「税務代理」・「税務相談」・「税務書類の作成」の3つなのです。この3つの業務は、税理士法においても明確に定められています。つまり、税理士はあくまでも「税金の専門家」なのです。
ですから、経理担当者が作成した資料をチェックして、経理処理の間違いをキレイに修正するのは、最終的には、正しく作成した申告書を税務署に提出するためなのです。それに、相談ごとに関しても、あくまでも「税金」の視点から相談にのってくれるということなのです。
もちろん、中には税金以外の部分に関しても相談にのってくれる税理士はいますが、それはあくまでも本業ではなく、オマケのサービスですから、社長自身がしっかり考えて、その真贋はきちんと見極めなければならないのです。
つまり、最も大切なことは、社長は、「税理士の仕事の起点は、あくまでも『過去』にある」という事実を知っておかなければならないのです。
これはどうゆうことかというと、税理士は、あくまでも「既に起きたお金の流れに沿って会計処理をして、税金計算をすること」が、本来の仕事であるということです。したがって、仕事の目線が過去にある人に対して、会社の未来を相談すること自体、そもそも無理があるのです。
このことは、経理担当者についても、全く同じことがいえます。経理業務は、「既に動いたお金の管理をすること」であり、あくまでも『過去』のお金の話です。一方で、財務業務は、あくまでも「これから動かすお金の管理をすること」であり、『未来』のお金の話なのです。
今あるお金をどうしようか、どうやって「儲かって潰れない」「利益を出してお金が残る」強い財務体質の会社にしていくべきなのか・・・、これを考えるのが社長の仕事なのです。そして、会社の未来を創るために欠かせない社長のための実務が、「財務」なのです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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