儲かる市場に安易に進出して失敗する社長の思考回路
「セミナーを受けて先生の柔軟な発想に感銘を受けました。ぜひ当社も見てもらえませんか?」
昨年末に実施したセミナーのご挨拶周りがようやく終了したところに、新規のご依頼がバタバタを入っています。
ただ、申し訳ないのですが、現在は新規を受け付けておらず7月まで待って頂く事になったのですが…
そこまでお待ち頂くのも申し訳ないので、自社の状態を客観的に眺める為の幅広い発想方法のコツを伝授してきました。
同社は現在、新規事業立ち上げの真っ最中。
いくつかの企画があったのですが、どれもまだ煮詰まっていなく、お金にニオイが全くしてきません。
そもそも、自社の本業と全く関係のない分野に進出しようとしており、軸がブレブレの状態。
たんに儲かりそうな事業分野にばかり目がいっているといった状態でした。
「いえいえ、藤冨先生これからですよ。事業を進めていき、試行錯誤をしていうちに何かが見えてきます。まずはスタートさせることが大事だと思っています」と、おっしゃいます。
が、ズバリ申し上げると、このような進め方で上手くいくことは、マグレ以外はあり得ません。
私は、やってよい試行錯誤とやっていけない試行錯誤をしっかりと分けて見る目が必要だと考えます。
やって良い思考錯誤とは、改良を重ねる事で成功に辿り着けるプロセスを歩んでいるとき試行錯誤。
やってはいけない試行錯誤とは、振り出しにもどってゼロからやり直しをするプロセスを歩む試行錯誤です。
このやってはいけない試行錯誤の典型例が「軸」がないことです。
例えば、ペット産業が伸びており、犬やネコなどの生体販売が成長市場で、自分もペットが大好きだったとしましょう。
犬やネコが売れているから、うさぎも売れるのでは?と、新商品の取扱いを拡げたりする…。
これは一見「ペットという軸」があるように感じられるかも知れませんが、それは大きな勘違いです。
こういった発想は「当たるか、当たらないか…」という博打をうっているようなものです。
販売商品の本質的な価値を軸にするということは、消費欲求の根源を突き詰めるということです。
この消費欲求の根源を突き詰めて考えれば、大きく外れることは殆どありません。試行錯誤のレベルでいけば、成功に辿りつけるプロセスということになります。
では、どうやってこの「消費欲求の根源」を探るか?
それは、ある現象を観察して「それってどうゆうこと?」の解を見つけることです。
例えば、前述の例でいえば、犬やネコが売れているって、それってどうゆうこと? と質問してみるのです。
「子供がいない世帯が増えたり、子供が巣立った老夫婦が、新しい家族を欲しているからじゃないかな…」
そんな仮説が成り立ちます。
しかし、この仮説もまだ現象レベルです。
消費欲求の根源までは突き詰められていません。
そこで、もう一段階掘り下げてみます。
「新しい家族が欲しい? それってどうゆうこと? 」
すると、こんな仮説が浮かび上がってきます。
「餌をあげたり、トイレのお世話をして、懐いてくれるのが嬉しいじゃないかな?」
そんな仮説が成り立ちます。
しかし、この仮説もまだまだ現象レベルです。
消費欲求の根源まで、突き詰められていません。
そこで、さらにもう一段階掘り下げます。
懐いてくれるのが、嬉しい? それってどうゆうこと?
「うーん、自分がいないとダメ…という状況に満足感を感じるじゃないかな?」
ここまで来ると、消費欲求の根源に突き当たります。
「自分がいないとダメ…という状況に満足感を感じる…」
つまり、ペットを飼うと言う行為は「自己重要感を満たすためにあるかも知れない…」という購買行動の根源の仮説が成り立つわけです。(ペットを消費行動と言うのは、少し違和感がありますが…)
すると、自己重要感を満たす行為から逆算すると、どのようなラインナップが必要なのか? どのような新サービスが考えられるのか? と消費者目線にそった企画が出来るようになります。
少なくても、犬やネコが売れているから、次はウサギか? など現象レベルに縛られた現象レベルのお粗末な発想にはならなくなります。
現象レベルを「それってどうゆうこと?」と、消費欲求の根源まで突き詰めること。
そこから自社商品の本質的価値を明確にしておくことで、売れる切り口の精度が上がっていきます。
御社では、新事業企画、新市場開拓、市場浸透など、新たな成長路線を描く際に、自社商品の本質的な価値を突き詰めてから事業企画を進めていますか?
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