「年上の部下」との関係が悪い営業所長
会社の売上や利益などの数字を変えようと思ったら、社長のあなたならどうしますか?
社長が主に営業して数字を作っているなら社長が頑張ればいいのですが、組織の規模が徐々に大きくなり、20名くらいを超えてくると、数字を社員の動きに委ねなければなりませんよね。
損益計算書を上から見てみると、
- 売上高は社員が作っている
- 原価・仕入は社員の努力で抑えたり増えたりする
- 結果として粗利益率が変化する
- 人件費は、社員のコストそのもの
- その他の販売管理費は社員が仕事をするために使っている
これらの、「社員の頑張りの結果」、それが営業損益である、とも言えます。
・・・こう考えると、多くの会社で損益計算書の数字のほとんどを、様々な部署で、社員が作り出していると改めて理解できます。
このような損益計算書の構造を社員が理解し、「自分たちの行動が数字を作っている」との自覚を高めて部署間で相互に議論していくことが重要ですが、ここでもう一つ忘れてはならないことは、損益計算書はあくまでも結果数字であるという点です。
試算表の結果だけで問題を議論することは表面的。
実は、根底の部分では社内における社員同士の関係性、仕事に対する考え方、姿勢(仕事観)が生産性に影響している・・・と言うのが私の見方です。
人の好き嫌いや仕事をやる目的次第で仕事の質、やる気や責任感が変化し、その結果が変わってくる。
社会人であっても、大人であっても、人間ですので。
やはり本音では、好き嫌いもあるし、なるべく気分良く働きたい。
そんな不安定な人間同士の関係性がいくつも束になって、組織の「結果」に対する「原因」となっている。
この人間同士の関係性の束を、「組織力」と呼んでいます。
この「組織力」に着眼しなければ、数字の結果は本質的には改善しません。
以前ご支援していた企業でのこと。
ある営業所で、いわゆる派閥に分かれ、お互いに責任を押付け合ったりと、チームワークが機能しにくい状態で業績も伸び悩んでいた、というケースがありました。
当時は、会議においても険悪なムードがその営業所には漂っていました。
その原因は、突き詰めると営業所長が、ナンバー2である「年上の部下」との関係性が悪く、それが派閥になり、チームに波及し社内の人間関係を悪くしている、ということだったのです。
・・・その関係性の改善に様々な方法で取り組む中で、やがて、所長とナンバー2の関係改善が実現。
すると、それがまたチーム内に波及し、お互いの関係性が強化されチームワークが機能し始める。
やがて・・・なんと、社内でナンバーワンの実績を出す営業所にまでなったのです!
組織力が低落してくると、社員の顔から笑顔が消えていきます。社内の雰囲気が悪くなっていきます。
その兆しが見えたら、社員何名かとまずは「対話」をしてみましょう。社員数が多い場合は、アンケートを取ってみるのもいいでしょう。
この目に見えない要素を見ていくことで、組織力の問題点が明確になり、組織内の社員相互の関係性を改善し、ベクトルを揃えるきっかけが見つかります。
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