新規開拓を成功させる大切な要素
事業が安定していることは経営者にとってこの上なく有り難いことですが、時代の変化や顧客が求める価値に合わせ、売れる品物も少しずつ変化して行きます。それに伴って、これまで売れていた商品や、世間から必要とされていたサービスが全く売れなくなるということもあります。経営とは、どこまで行っても確たる保証は無く、先行きは永遠に不透明なものです。
だからこそ、常に「新規開拓」に取り組む企業は多く、積極的に新しいお客様を増やすことを目標に掲げる経営者は少なくありません。未来の成長を少しでも確実なものに近づけるための新規開拓、皆さまの会社ではどのような取り組みをされているでしょうか?
先日も、ある企業の営業部長様と食事の席でご一緒した際に、話題は新規開拓へ…。「とにかく月3件で良いから新規を増やせ!」と言うんですけどね~、全く取って来ないんですよ…とおっしゃっていました。ご自身が駆け出しの営業マンだった頃には、「契約を取るまで会社に帰ってくるな!」と言われた時代だったそうで、それに比べれば彼の言葉はまだまだ優しい方だというのが言い分のようです。
確かに、既存の営業先がある程度決まっている会社では、つい、いつもの相手にいつもの営業…で一日を終えて帰るケースが多く、「新規」「新規」と強く意識していないと目標をクリアする事はかなり難しいものです。日頃いただくご相談の中でも、このような新規開拓に関するものは非常に多く、その時に私が必ずお伝えすることが二つあります。
第一に、「具体的な戦略を示してあげて欲しい」と言うこと。新規開拓とひと口に言っても、その規模や事業内容・経営者の考え方などをしっかり押さえておかないと、闇雲に口数ばかりが増えても売上の増加につながらないケースが多いからです。自社が求める、取引先に相応しいターゲットを明確にして、開拓までのプロセスをしっかりと落とし込んでおく必要があります。
第二に、「自分が率先して手本を示してほしい」と言うこと。経営者や事業部長が新規開拓をすることは無い…という固定概念や思い込みを捨て、自らが先頭に立って新規開拓に挑戦していただきたいのです。
これは、飛込営業やテレアポなど目先の営業手法の事を指しているのではなく、例えば、これまで参加したことの無かった経営者の会に積極的に参加したり、過去に提案したことの無い会社にプレゼンテーションをしてみたり、自分が苦手だと思う分野に顔を出してみたり…。要は、新しい事に前向きに挑戦する後ろ姿を部下に見せてあげて欲しいということです。
よくご承知の通り、初めての場所に行くのは幾つになっても緊張するし、見ず知らずの人とは当然心の距離が遠くて、決して受け入れてもらえるケースばかりではありません。むしろ、何の収穫も無く手ぶらで帰ってくる時の方が多いのではないでしょうかか?しかし、それでも諦めずに挑戦し、次の可能性への道筋を示してあげることが部下のやる気につながり、社内のモチベーションを生むのです。
「新規を増やせ!」と大きな声を出すだけで増えるのであれば、世の中の会社は全て右肩上がりの売上を叩き出すはずですが、そうは行かないのが現実です。「新しいお客様に取引をしていただくことはハードルが高い。でも、我々の会社や商品の良さをきちんと伝えて、喜んでお取引いただけるお客様を増やしたい。そのためには皆んなの力が必要で、一緒にこの壁を乗り越えて欲しい」…という経営者の情熱こそ顧客開拓の大きな礎になるのです。
経営者の皆さま。御社の新規開拓は順調ですか?具体的な戦略は示せていますか?部下にお手本を見せることができているでしょうか。初めて合った相手にこそきちんと伝わる「信頼される会社づくり」…考えていますか?お客様は、営業マンの奥にキラリと光る貴社の可能性を求めているんですよ。
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