「節税対策」で失敗する社長の共通点
会社経営の本質が「お金を増やすこと」であることを鑑みれば、「お金を残す技術」ともいえる「節税対策」について、同族会社の社長が高い関心を寄せることは、しごく当然なことです。もちろん、やり方さえ間違えなければ、「節税対策」は、会社の財務体質を強くするための、「一つの技術」です。
たとえば、売上高当期純利益率が2%の会社が、「1,000万円の利益を残したい!」と考えたら、一体いくらの売上が必要になってくると思いますか?
難しい話は抜きにして、単純計算で考えたとしても、1,000万円÷2%=5億円 という結果になります。つまり、1,000万円の利益を残すためには、5億円の売上が必要となる・・・ということです。
手元にしっかりとお金を残して、会社の内部留保を厚くし、将来への投資につなげたい・・・と考える経営に前向きな社長にとってみれば、この事例の場合、1,000万円の節税は、それこそ5億円の売上に相当する・・・と考えてもおかしくない話なのです。
つまり、「正しく節税する」ということは、会社にお金を残して、会社の内部留保を厚くすることにつながるため、重要な「社長の実務」の一つなのです。
さらに言えば、同族会社の場合は、会社に課税される法人税等だけではなく、社長や同族オーナー一族に課税される所得税や相続税についても気を配らなければなりません。したがって、同族会社の社長は、人一倍、税金について知っておかなければならないのです。
このように本来なら、節税対策というものは、手元にお金を残し、強い財務体質をつくるために行われるべきものなのです。
しかし、残念ながら実際のところは、多くの社長が「節税対策をすればするほど、なぜかお金が減っていく」という負のスパイラルに陥ってしまいます。それは、なぜかというと、多くの社長が、「節税対策」イコール「節税のために、何か商品を購入する」という風に考えてしまっているからです。もっといえば、節税商品のメリット・デメリットを真に理解する前に、購入の意思決定を下してしまっているのです。
節税対策は、あくまでも「お金を残す」ために取り組むべきものです。
重要なことは、社長は、「お金を使わずに出来る節税対策」、それも後々課税される「繰延型の節税対策」ではなく、「永久型の節税対策」を上手に活用するスベを知ることにあるのです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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