社員が育つ仕組みと、社員教育とでは、まったく次元の違う話。
「ゴトウさん、誰か社員教育の仕組みづくりができる人を知りませんか?」── 先日、知人の経営者からお問い合わせがあり、その中ででてきたのがこの言葉です。
伺えば、社員一人一人の力を高めていくために、そして大いに活躍していってもらうために、会社のDNAとでも言うべき考え方や方針を、しっかり次世代に伝えていく仕組みが欲しいと…。
なるほど、本当に強い会社とは「自社に必要な人材を自社で育てていくことができる」、弊社ではこれを「人材教育の拡大再生産の体制」と呼んでいますが、これなくして、強固な事業成長など、夢のまた夢となってしまいます。
しかし、会社が大きくなっていく過程で、創業者のDNAは徐々に薄まっていき、もはや創業理念などどこ吹く風、自社がおこなっていることの意味や、何のために事業展開をしているのかさえ「考えもしない」幹部が増えていき、やがて病魔のごとく「誰も何も考えない組織」という状態になっていったりします。
そんな酷い状態になんてならないよ…とは、多くの社長さんが口にされますが、「自社で社員を育てる方針や仕組みをしっかりお持ちですか?」と質問すると、「部長や担当長に任せているから…」と口ごもったりされます。
当たり前の話ですが、「部長や担当長に任せている…」といったものは、仕組みでも何でもありません。そもそも社の考えや想いといったことは、経営トップが語らないで一体誰ができるのか…ということです。
うちは、社員教育を外部の先生にお願いしているから…という、思わず耳を疑うような返答もあったりします。もちろん、型や法令といった「自社独自と関係のないもの」また、「自社の社員教育にプラスアルファのもの」であれば問題ありませんが、事実上ほとんど丸投げ状態といった会社もあり、「社員が育たない」という、これは落語? と思えるような話さえあります。
世の中にはたくさんの先生方がいますが、事業をしっかり成長させていくためには、自社の方針をしっかり定めた上で、どう社員を育てていくのか、どうすれば社員が確実に育つか、「この仕組みを先生につくってもらう」ことこそ重要となります。間違っても、自社の社員教育を外注するために先生を活用するのではない…という点が、重要なポイントなのです。
このことをよく理解していないと、「社員教育」と「社員が育つ仕組み」が混同し、社員が育たないどころか、会社のDNAは確実に途絶え、いつしかバラバラの会社となり、事業が傾いていく…ということになります。
いち早い「社員が育つ仕組み」の確立こそ、事業成長の礎なのです。
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