多くの後継社長が見落とす事業承継の落とし穴
今はまさに「社長の大交代期」ともいえる時期で、多くの同族企業では、「親」から「子」への経営のバトンタッチが進んでいます。
先般、帝国データバンクが発表した「全国社長分析」によると、2015年末時点の全国の社長の平均年齢は、「59.2歳」ということで、現役社長の高齢化は進んでいるものの、その一方で、事業承継の準備を着々と進めてきた会社は、しっかりと次世代経営者へ経営のタスキ繋いでいるものです。
当社は、同族会社専門の財務コンサルティング機関ですので、全国各地から事業承継を見据えた後継社長がご相談にお見えになられます。そんなこともあって、退職金のことや株式の承継、金融機関への対応のことなど、様々な視点から「上手くいく事業承継」のためにご相談が寄せられるのです。
ここで、まず知っておかなければならないことは、「上手くいく事業承継」のためには、絶対的な手順と見落としてはいけない幾多のチェックポイントが存在するということです。したがって、将来に向かって、「儲かって、潰れない」「利益を出して、お金が残る」強い財務体質の会社を目指すのであれば、絶対に事業承継で失敗しないよう、時間をかけてじっくりと準備を進めることが重要です。
たとえば、こと退職金の支給ともなると、「できることならたくさん貰いたいと願っている親」と「たくさん払ってしまって大丈夫なのかと心配する子」の両者の心情が複雑に絡み合ってきます。それに、高額退職金の支給にあたっても、税務上見落としてはいけないチェックポイントが複数存在します。
したがって、付け焼刃の知識や、聞きかじりの内容で見切り発車をしてしまったりすると、後々手痛いしっぺ返しが待ち受けているのです。よって、本気で社長と会社にお金が残る仕組みづくりをしたいと願うのであれば、事業承継においても、最低でも半年から1年以上の時間をかけて進めていかなければならないのです。
特に、同族会社の多くは、「株式が分散してしまっている」という大変悩ましい問題も抱えています。事業承継のタイミングで重要なことは、後継社長である社長にいかに経営権を集中させ、「争族」を防ぐための対策を事前にどれだけ打てるかにあります。
そして、これは悩ましいことに、時間が経てばたつほど選択肢が少なくなり、難易度も上がっていく傾向にあるのです。だからこそ、できるかぎり早期に、後継社長一人に株式を集約できるような仕組みづくりをすべきなのです。
ダイヤモンド財務®コンサルタント
舘野 愛
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