確実性と不確実性が生む新たな価値
「人と人が出会った場所に、ビジネスは生まれるんですよね」
先日お会いしたベテラン経営者の方の言葉です。自分も駆け出しの頃は毎日が飛び込み営業だったとおっしゃるこの社長様、人の上に立ち大きな事業を手掛けるようになればなるほど、人との出会いや語らいの場に大きな成功のヒントがあるとおっしゃっていました。
事業を始めたての頃や成長途中の時期には、とにかく売上や利益と言った単体の物事に気を取られがちですが、軌道に乗り次のステップに進む時には必ずと言っていいほど転機となる出来事やキーパーソンとの出会いがあるものです。この“転機”や“キーパーソン”。目立つ看板を掲げてくれていないため、ともするとその存在に気付かないまま一生を終えてしまうこともあるかもしれませんが、特にビジネスの世界ではこう言ったものを敏感に感じ取るアンテナが必要だといわれています。
しかし、様々なチャンスや人との出会いには不安がつきもので、「本当にこれを実行して良いのだろうか?」「本当にこの人間は信用できるのだろうか?」と、裏にしたり表にしたりしながら品定めをする人も多いのではないでしょうか?見えない未来を切り開く経営者にとって、毎日のその瞬間・瞬間は判断の連続…大変なお役目ですが、「でも、こうして一段一段ステージが上がっていくんですよ」と、先ほどの社長様はお話ししてくださいました。
実は、この事はビジネスの現場においても同じです。
お客様を訪問する営業マンや店舗で待つスタッフ、また、ネットで商品を販売する場合でも…。売る側にまず求められるのは「確かな情報」です。その商品の機能や効果・過去の実績など、「本当にこの商品は大丈夫なの?」と問い掛けられます。そしてその問いは社員やスタッフに対しても同じです。だからこそ、売る側は品質やお客様の声・根拠などの“確かな情報”を伝えることで顧客の信頼を得ようとするし、「今一番売れています!」「会社のコストが半減できます!」の裏づけと同時に、自分は誠実且つスキルの高い人間なのだとアピールするのです。互いの信頼・安心・安全は全てにおいて大前提です。
しかし、確実性をクリアできた先には、次なるステップが待ち構えています。それは…
「不確実性をどう受け入れてもらうか?」。
要は、「結果は分からないけど、やってみるよ」と相手に言わせることができるかどうか?です。アンテナの感度が敏感な人ほど思い切った判断をしてくれるもので、そうした互いの信頼関係やチャレンジ精神は、結果として新しい価値を生み出すことにつながるのです。確実性は“物理的な距離”を縮めてくれますが、不確実性は“心理的な距離”を縮め強い信頼関係を構築してくれます。それは、次なるステップを容易に乗り越え共に成長していく礎となり、win-winの関係とはこのようにして築かれて行くのではないでしょうか?
経営者の皆さま。御社の社員さん達は「商品性能のアピール」「自分のスキルのアピール」ばかりを繰り返していませんか?既にできあがった信頼関係に満足している現実が存在しませんか?互いに成長できる“冒険の場”へのアクションを推進していますか?その指令を下すのは経営者の仕事なんですよ。
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