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財務を棄損する社長が陥りやすい罠

SPECIAL

ダイヤモンド財務コンサルタント

ユメリアコンサルティング株式会社

代表取締役 

次世代経営者専門の財務コンサルティング機関。同族会社のオーナー社長・二代目社長に対して、経営基盤を頑強なものにする、「ダイヤモンド財務」の築き方を指導。

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銀行の四半期決算のタイミングである3月、6月、9月、12月は融資が出やすいということもあって、融資を利用した不動産取引が活発になる時期です。そんなこともあって、かねてから「物件を売りたい」あるいは「物件を買いたい」と考えている人にとっては、まさに千載一遇のチャンス到来・・・といったところでしょうか。

真に事業に必要なもので、物件を購入することが将来の収益に直結することが確実なものであれば、購入の決断を下すということも、社長にとっては必要な経営判断です。ただし、あくまでも物件購入前と物件購入後の財務の状況がどのように変化するのかを社長自身が数字で明確に把握し、その上で「入念な下準備をした上で」の話です。

不動産を購入すれば、どんな会社であっても貸借対照表は肥大化します。不動産に限らず、資産が増えれば増えるほど、貸借対照表は大きくなって資金効率は低下していきます。

逆に、不動産を売却すれば、貸借対照表は圧縮されます。さらにいえば、売却によって得た資金をもとに借入金を返済すれば、各種財務指標も改善されていくはずです。財務の視点で考えれば、この「違い」どれだけのインパクトを持っているのか・・・、その意味と価値を社長自身が本当の意味で知っているかどうかで、5年後10年後の未来が大きく変わってきます。

例えば、収益に直接貢献しないような「自社ビル」や「工場・倉庫」などを土地から購入して建設するのであれば、自社の貸借対照表が肥大化するだけでなく、資金繰りにも大きな影響を与えます。特に土地は減価償却することができませんから、金融機関から借入をして購入するのであれば、その返済原資の捻出や返済スケジュールを慎重に検討しなければなりません。

ここで社長が絶対に知っておかなければならないのは、「貸借対照表対照表を肥大化させるということは、当然抱えるリスクも増えていく」という事実です。ところが、実際のところはイザとなると、「銀行が安い金利で貸してくれるっていうから」「どうしてもこの物件が欲しい」という気持ちが先行して、経営者として最も重要な検討事項をあいまいにしたまま話を進めてしまうのです。

自社ビルや工場・倉庫などの建設そのものが悪いというわけではありません。ここで重要なことは、会社経営とは、突き詰めていくと最終的には「少ない元手で、お金を増やすこと」という原理原則を社長自身が本当の意味で理解しているか?ということです。

会社には、「持っていい資産」と「持ってはいけない資産」があります。社長がお金を使う経営判断を下す時は、将来の収益に貢献する「投資」であるべきですし、保有する資産はあくまでも「収益に貢献するもの」に限定すべきなのです。

 

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