第32話 社長の仕事は、”社長ならどうするだろう?”と自問自答させること。
「ソノダさん、有望な若手社員の教育を先輩社員に任せていたら、その若手は先輩のダメな所ばかりを真似して、私が望むような仕事をしてくれません。」・・・忘年会での旧知の社長さんのお話です。
聞けば、社長は、この先輩社員のことも育成しきれていないのに、よりによって、有望な社員の教育を、彼に丸投げしていたようです。そして現在は、先輩社員を教育担当から外し、若手社員を社長に同行させて、一から教育し直しているとのこと。「俺(社長)ならどうするだろう?」って考えてくれるようになるまで叩き込みます!と決意も新たにされたようです。
社長にとって、社員が「社長ならどうするだろう?」と自問自答して、仕事に当たってくれることほど、頼もしいことはありません。
当たり前のことですが、「社長ならどうするだろう?」と自問自答できる社員は、社長の価値観を、自分自身の価値観として腹に落とし込んでいます。だからこそ、刻々と変化する現場にあっても、持ち帰って社長にお伺いを立てることなく、その場で、機動的に、最善の判断ができるのです。
そして、「社長ならどうするだろう?」と自問自答できる社員は、”社長自身が常日頃から手塩にかけて、はじめて育つ”ということを肝に銘じておく必要があります。
なぜなら、社長の価値観の土台となっているであろう”逆境”や”失敗”の経験と、そこから生まれた”知恵”や”理念”は、社長固有の、第三者からは見えない知識であり、年に1〜2回の経営説明会や人事面談、社外研修だけでは、到底伝え切れるものではないからです。
ましてや、社長は、自身の経験談を、ただの”ありがたいお話”に終わらせることなく、具体的な課題に直面した場面場面で、機動的に判断・行動できる実務的な知識として、社員に身につけさせておく必要があります。そのためには、社員に対して、様々な機会を捉えて、社長の価値観を説明することが肝要なのです。
こうした視点から、毎日の朝礼や終礼、毎週のPDCA確認会議、毎月の課内会議、毎年の経営戦略説明会や人事面談、様々なマネジメントの場面を見直してみませんか?
「社長が何を望み、何を求めているのか明確だったので、私たちも安心して、創意工夫して、現場の仕事に当たることができました。」・・・社員からこう言われる日も近いはずです。
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