社員が辞める時に、ぜひ考えるべきこと。
明けましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
さて、年末年始という自然に感じる区切りには、不思議と「社員が辞める…」ということが多くなる…という傾向があります。
「年内一杯がんばって、年が明けたら会社を辞めて…」といった、一種の気持ちの整理がつけやすいからかもしれませんが、年明け早々に「会社を辞めたいです」と突然言われる側の経営者としては、これはせっかくの正月明けの気分の良さも、すっかり飛んでしまうというもの…。
よほど辞めてもらいたいという社員ならいざしらず、可愛がっていた社員ともなれば、「何だと~??」と感情的になる方もいらっしゃると思います。しかし、だからと言って一旦引きとめたとしても、いずれは辞めていくことには違いないでしょう。永遠に会社にいることなどあり得ないからです。
また、昨今では「妊娠したので…」というケースもよく耳にします。先日も、ある経営者の方とお食事していた時に、「営業面で頼りにしている女性社員が、出産で○月から休むことになったんですが、下の社員からも、早く代わりの人を入れてくれないと、手がいっぱいでとても回りません!と言われていまして…その対応に頭がいっぱいで…」と胸の内のお話になられました。
いわく、それだけの人材をすぐに雇えるものでもないし、雇うことができたとしても出産後に帰ってきてもらうのだから、今度は雇った人をどうするのか…という問題もでてきてしまう…といった中小企業ならではの何とも言えない悩みがグルグル…と。。
こうした問題に、「こうすればいい!」といった単純な正解など、当然ありえません。人がからむ問題には、そこに多くの感情も、しがらみも、そして経営者としての立場や志、愛…といった、数値では割れないものがたくさん介在してくるからです。
一方で、「早く代わりの人を入れてくれないと、手がいっぱいです!」の言葉のとおり、現場は現場で困っており、その突き上げがくるものです。
重要なことは、このとき「本当に手がいっぱいなのか…」を冷静に見極めるチャンスと捉えられるかどうか…ということです。
言葉は大変悪いかもしれませんが、人を一度雇うと、その将来性ももちろん素晴らしいことですが、様々な制約が発生することも、これまた事実です。だからこそ、冷静に判断すべきときに判断をしなくてはならないのです。
3年、5年、10年…と年月を重ねながら、事業が次第に成長していく中で、人数と事業規模、そして事業内容がしっかり「儲かる」方向性で良くなっていっているか…は重要です。
例えば、10人で2億円やっていて、20人になって3億円、10年経って30人になって4億円…といった企業もあります。30人で6億円でも単に大きくなっただけなのに、会社が大きくなって効率が悪化していっている…というケースです。
本来、10年経てば、それだけビジネスのやり方、手法がより高度に、効率よくなっていなければ進化はありません。この部分の成長が無い限り、社員の給料を毎年上げていくことなど、できなくなってしまいます。
居なくなるから補充する…。 このなんとなくの流れが、いかに危険かは優れた経営者であれば本能的に察知します。一度、しっかり踏みとどまって「何か良い方法はないか?」「本当に必要か?」「外部利用で半分回せないか?」…など、社員が辞めるときとは、様々な方策を考える素晴らしい置土産?かもしれないのです。
優れた経営者は、このチャンスを確実に活かし、「社員が代わっても問題なく回る社内体制」や、「より少ない人数で回る仕組み」、また「外注比率を高めて変動により強い体制」…といったものを構築していき、それらの積み重ねによって、3年、5年、10年後…に、ライバル他社に大きな差をつけていくのです。
迫られるのは苦しいことに違いありませんが、これをぜひチャンスとみれる経営を行っていただければ…と存じます。
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