人事評価制度を機能させる要とは
「ヨシノさん、うちの会社では社員の成長を重視しています。
そのために、人事評価制度の仕組みを独自に構築し、3年経ちましたが、どうも部署によって社員の成長度や、離職率に差が出てきているようなのです・・・」
人事評価制度や仕組みがいくら良くても、運用する主体によって結果にばらつきが出る、というお悩みのご相談です。
こういう場合は、そもそも「評価」という言葉の意味が統一されていない。
私の「評価」の定義とは、会社の方針・理念に照らして・・・
- 良いこと、できていることは承認し、褒める。
- 要改善、気付いていないところは、(部下に)「自覚させる」こと。
この2つの意味をもつ。
評価者である上司が、「あまり評価を辛くすると、社員のモチベーションが上がりにくい」とか、「厳しく突き放すくらいがちょうどいい」などという発言が出ているのであれば・・・
実際は、上司によってかなり主観的な「評価」(もどき?)になっている。
評価に「甘い・辛い」は必要ないのです。
不公平感を感じさせる元凶です。
さらに、「本人評価」を取り入れている仕組みである場合に、上司の評価と、部下の自己評価にギャップがある。
この場合、上司は要改善の事実を部下に「自覚させる」ことができていない。
部下が上司に反発し、関係が悪化しているケースもありえます。
そもそも、上司と部下の信頼関係ができていなければ、正しい「評価」は機能しないでしょう。
特に中小企業の場合、ほとんどの上司はプレイングマネージャーで、自分の数字もあり、多忙です。
そのため、上司が、部下をよく見られない状況が慢性化しやすい。
この場合、上司は部下の気持ちに共感したり、寄り添う、ということが十分に出来ていない。(もちろん、個人差はありますが)
普段、自分の仕事を見ていない上司から、年に2回程度、数字の結果だけで判断されるだけで、プロセスの背景にある自分の「思いや気持ち」の部分を見てくれていない人間に、自分を評価される部下の気持ちを考えると、無理もないな・・・と、思うケースもあります。
この、部下の気持ちを考えると・・・そこに、仕組み運用面での「改善ポイント」が見えてきます。
・・・評価とは、「考課」とも言いますね。
ちなみに、人事考課の由来は、奈良時代の役人の、勤務の評価や任用試験を意味する「考課令」からきているそうです。
私としては、こちらの言葉の方が好きです。
それは、「考課」は、部下の「課題」を「考える」と読むことができる。
部下の気持ちを考え、寄り添い、成長を願う上司なら、真剣に成長した未来の姿を思い描き、そこから部下の成長に向けての「課題」を「考える」・・・
部下の成長した姿に照らして
- 良いこと、できていることは承認し、褒める。
- 要改善、気付いていないところは、(部下に)「自覚させる」こと。
が、初めて正しくできる。
逆に言えば、上司には、このような部下の成長イメージと、その成長戦略がなければ、正しい「評価」などできないということです。
あなたの組織では、こんな上司を育成する仕組みを社内に備えていますか?
人事評価制度を機能させるたった一つの要です。
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