すし店の出前は、なぜ売れなくなったのか?
つい先日、旭屋出版様に取材をしていただきました。
1月31日発売のムック「すしの雑誌」の特集記事の1つである「すし店の販路拡大&売上増大作戦」についてです。
「すし店が売上を伸ばしていく方法の1つとして、出前は有効な手段でした。しかし、最近は出前の売上が伸びずに、出前をやめてしまう店が多いと聞いていますが、なぜ、すし店の出前の売上は下がってしまったのでしょうか?」と、はじめから鋭い質問をいただきました。
その答えはいたってシンプルです。それは、出前で売るための努力を何もしていないからです。
出前で売っていくためには、出前用の品揃えを組み、チラシをまいたり、ネットを活用したりして販売促進をしていかなければなりません。
しかし、出前で売れていない店の殆どが、何もしないでお客様からの注文を待っているだけなのです。厳しい言い方ですが、これでは売れる訳がありません。
たとえて言えば、何も道具を持たずに、野球の試合に望むことと同じです。
野球で相手と対戦するためには、ユニフォームはなくともグローブやバットは最低限必要になります。たとえプロ野球で活躍している選手でも、バットを持たずにヒットを打つことはできません。侍ジャパンのメンバーを集めたとしても、道具を持たなくては試合に勝てるわけはないのです。
それと同じことが、出前で売上を上げていないすし店にも言えます。どれだけ鮮度のいいネタ、美味しいネタを使っていて、修行を積んだ職人さんが握っていても、売るための道具を持たなければ、寿司の出前は売れません。
少し前までは、出前と言えばイコール寿司でした。どこの街に行っても、少なくとも1~2軒のお寿司屋さんはあって、出前をしてくれたものです。店を開けていれば、何もしなくても出前の注文は入ってきました。
ところが、回転寿司や宅配専門店ができてくると、街場のお寿司屋さんの売上は下降線を描いていきます。お客様の選択肢が広がっているのにも関わらず、昔のままの意識で商売をしていては売上は厳しくなるばかりです。
では、すし屋の出前はもう売れないのでしょうか?いいえ、決してそんなことはありません。まだまだ出前で売上は伸ばせます。長い歴史があって、いい素材を持っていて、腕のいい職人さんがいるわけですから、「出前で売るんだ」という強い意志と、出前で売るためのいい道具され手に入れれば売上は伸びていきます。
ある宅配専門店の社長が言っていました。「一番の強敵になるのは、宅配専門店ではなく、地元のすし屋が本気で出前を取り組むことだ」と。
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