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社長さんにとっても従業員にとっても「嬉しい」大入り袋活用術

SPECIAL

10億ビジネスの経営数値成長戦略コンサルタント

株式会社ノグチ経理相談室

代表取締役 

同族会社の業績を、10億20億事業に成長させる「経営数値」コンサルタント。客数や客単価・生産性などの業績を現す数値と、財務諸表の数値とを統合させることこそ、同族企業の成長の根源であると、「儲かる社長が押さえるべき商売7つの数値の法則」として体系化。頼りになる指導と、評価が高い。

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「たった500円なんですけれどね、大入り袋の中身は。でもね、もらうと本当に嬉しいんですヨ。だってね、毎日毎日、日替わり定食の食数60食を達成するのは、中々に難しい事ですよ。この店満席で28席ですから、昼時満席でも食数60は達成できない。夜営業で定食にもう一品を頼まれるようにしないと届かない。献立・食材・オススメの言葉、三拍子そろえなくてはダメなんです。従業員みんなが協力しないと達成できないから、みんなが、定食の食数を気にするしアイデア出すしね。ともかく、達成するとみんなニコニコですよ。」 

日替わり定食3種類をメインに据えて、下町地域に3店舗の定食店を運営するオーナーは、日替わり定食の食数達成こだわりを持って、毎日従業員に声を掛けます。

「ウチは、定食屋だからね。定食が売れないと定食屋じゃないからね。定食屋だから客単価1200円がイイとこだよ。」

「客単価が上がっているよ。だれかお客さんにお酒を飲ませすぎたんじゃないの?お酒をのませすぎて売上あげると、これから一週間はお客さん減るよ、飲み過ぎた客は次の日こないからね〜。呑んべえが嫌いな客も来ないからね〜。」

売上目標を達成したら、何らかの報奨金を社員に配布する制度を持っている飲食店や物販店、サービス業でも数多くあります。

売上目標達成に報償がある、「人参をぶら下げる」仕組みは、有効です。

従前は、この店舗でも一日の売上目標を達成すると、大入り袋を出す仕組みを実行しました。

実行直後は、一時的に売上が上がったものの、次第次第に売上は乱高下しました。

売上の極端に良い日と悪い日が発生しだしたのです。

毎日の客数、客単価を見比べると、客単価が大きく跳ね上がった日の翌日から数日が、極端に売上の低い日が続きます。

客単価が高い日は、客数が低いことが分かりました。

なぜ、そうなっているのか?社長さんは店舗の状況をしばらく観察してみました。従業員は、売上を上げたいと一生懸命なあまり、なじみのお客様に来てほしい、賑わってほしいと、居酒屋のようにボトル購入を勧めている姿が見えました。

調理長も、腕をふるいたいと、高額な食材を仕入し料理を提供していました。

料理の単価が上がれば、当然売上が上がるハズだと思ったのです。

従前は、満席状態で立ち替わり入れ替わりで席が埋まるお店でしたが、ボトルをいれ高い料理が並ぶ卓には、席数の半分のお客様が長時間談笑しています。

その席の周りには、近よりがたいらしく他のお客様は座りません。

客数が減っても、客単価は上がって、売上も上がっています。

でも、現金の残りが少ない、預金通帳の残がへる。

支払決済をする社長は、利益の減少がすぐ分かりますが、従業員には見えません。

酒の仕入が足を引っ張り、売れ行きにバラツキがある高級食材の仕入も足を引っ張りで、利益は大きくダウンしてしまいました。

会社はず~っと利益を出して儲かり続けるのが、目的です。

売上を上げるのは、この利益をだすためなのですが、売上を上げるために利益が食われてしまうという本末転倒な結果です。

ただ売上を上げればイイと、営業戦略を現場に投げていただけだと、社長は気づきました。

責任は、従業員ではない。

どの商品を主力にして利益を上げるかは、社長の考える事、社長が作る仕組みです。

単価の低い日替わり定食を毎日提供するために、この店がしていた工夫があります。

食材費は下げずに、手間を省く。

つまり食材は、旬の生きのいいものを使い、いっぺんに大量に調理できるメニューの開発です。

加えて、やすい日替わり定食に定番の一品献立の追加注文を取ることです。

この大量調理メニューと定番の一品料理で、食材の廃棄ロスを少なくする事ができていました。

飲食店の利益は、食材費と人件費をあわせたFL比率が売上の50%~55%といわれますが、この店は食材費だけで40%人件費をいれると65%になります。

売上に対する報奨金を出していた期間は、この数字が72%まで上がりました。

目先の売上を上げようとして、短期的な高額顧客獲得にばかり目がいってしまい、結果として、安定的な売上の下支えをしてくれる日替わり定食のお客様が、入りにくいお店になっていました。

社長さんは、あらためて日々の達成目標を、日替わり定食60食の食数にすると、決めました。

定食屋としての自店の方針を、従業員達に自分の言葉で話しかけました。

安定した客数を目標にしている事を、くり返し、くり返し伝えました。

日替わり定食は、下町の人々がこの店に入ってみようかと思わせる、廉価な集客商品であり、毎日のように来店するファンが、この定食にもう一品何を足してやろうかというお楽しみを提要している商品です。

食材費の高さは、客離れを防ぐ大きなポイント、自社の強みです。

接客をになう従業員に接客指導をし、日替わり定食の勧める方を工夫をし、あと一品の注文を受けることば選びを実践していきました。

大入り袋は、この日替わり定食を毎日60食売り切ったご褒美です。

飲食店は日々の利益の積み上げでしか、目標を達成できません。

食事を毎日毎日とって成り立つ人の営みの上に、成り立つのが飲食店の商売。

季節セールで洋服をまとめて販売するような事はできない商売です。

毎日毎日できる達成目標の設定は、従業員のやる気も会社の利益も連れてきます。

 

 

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