成長チェーンは年間勝負で稼ぐ
「イトウサン、12月は売上があるので人時も高く設定していいんでしょうか?」あるチェーンの経営者からのご相談です。
--------売上ではありません、作業量に合わせて設定をしてください。12月だから必ずしも人時が高くなるとは限りませんので。と申し上げています。
「年末は繁忙期だから いくら人がいても多すぎることはない!」という声が聞こえてきそうですが、
--------では「繁忙期でやることが書かれた作業指示書」はありますか?とお聞きすると 「うっ!」と皆さん言葉に詰まります。
例えば、かまぼこひとつとっても通常価格は200円ぐらいですが、年末おせちのかまぼことなると5倍~10倍の価格になります。
品出し作業時間は差がないのに、これを売上に合わせてしまうと、過剰な人時をつけてしまうことになります。
年末だからこそ試食を出したり、いい商品をお薦めしたいこともたくさんあり、余分に人員を持ちたい気持ちは分からなくもないですが、作業指示書がなければ、人件費は無駄につかわれるだけです。これを「繁忙期」という曖昧な表現にごまかされ、昨年とおなじことを繰り返すようでは、いつまでたっても、利益があがらない年末商戦から脱却できません。
日頃売場に並べきれないほどの商品を仕入れ、商品ロスを発生させ、定番商品の品切れロスを繰り返す企業は、粗利が低く、販売管理コストが高いのが特徴です。
まして、今は欲しいものはネット通販ですぐ買えるので、物のなかった時代のように在庫量をみて今買わなくては!なんていう人はおりません。通路まで出たエンド商品があると思えば、欲しい商品は品切れしている。商品が見つかりにくくて、買いにくいこういった、状態が改善されなければ、お客様は離れていってしまいます。
一方で、そんなに商品ボリュームはなくても、お客様が商品を買いたいときに商品がきちんと取り揃えられている店は、使える店として評価されます。粗利は確保され、販売管理コストは圧倒的に低く抑えています。
確かに想いとしては、12月商戦は予算を達成できますと嬉しいですし、達成感は格別なものはあります。
12月だからといって容認してきたことも、12月だからこそムダをなくし利益を増やすという戦略が 今こそ必要と言えます。
戦略的に人時を使い始めると、この状況を変えるのはそんなに難しくないことに気づきます。
一日の作業量と作業指示結果記録が用意されていれば、そんなにブレないことも判っています。
それを誰でもできる仕組みにすれば、店舗間格差だけでなく、月間格差も是正されることとなります。
年間12カ月間の勝率でいえば5勝7敗よりも引き分けがいいわけですし、勝越しであれば年間利益も手が届くようになってくるわけです。
「どうせ、多大なシステム投資がかかるんでしょ!」という声が主管部から聞こえてきそうですが、店舗の利益に結びつかない作業のムダをお金に換算すると、驚くことにその何倍もあることに気づきます。単年投資回収率100%以上という今どき信じがたい効果の見込める投資のひとつと言えます。
しかし、最初は一気にやらずに、1店ずつ進めていきますので、業務改革プロジェクトを設定し、現状のムダを利益に転換する一歩目を踏み出していくわけです。
大事なことは、もちろんお店の店長やパートアルバイト社員の方の誰でも使えるようにしていくわけですが、その前に、幹部にもしっかり使いこなしてもらえるものに、しておかなければならないということです。
プロジェクトや経営幹部が使えなかったら実際に現場で指導することはできませんので、主管部門が100%の力で支援できる仕組みが揃ってはじめて利益の更新は実現できます。
まずは、年度売上と利益をしっかり押さえられる 月次週次の人時の把握から始めてみてください。
歳暮商戦がスタートした今週、チラシ本数 競合価格 競合出店に翻弄される店舗運営から、自社の執行プランに基づきお客様の求める店舗運営に改革していく、最大のチャンスと言えます。
さあ、貴社でも、強く、長く、成長するチェーン実現のための店舗業務改革プロジェクトをはじめてみてください!
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