チェーン店の長時間労働は仕組みで変える
「店長が毎日見るべき帳票って決まったものはどうあるべきでしょうか?」とあるチェーン社長からのご質問です。
----前日までの営業レポートが紙となって、店長出社時に店長のデスクの上に置いてあることです。と申し上げております。
こういうふうに言いますと 大抵 各部の担当部長からは、
「その営業レポートのシステム投資はどこでもつのか?」
「いったい誰がその掲載内容を決めるのか?」
「スマホ全盛の時代 紙で出す?逆行してるんじゃないか?」といった声が聞こえてきそうですが、
-----それでは 一日の店長業務スケジュールを見せていただけますか?とお聞きしますと、皆さん「うっっ それは・・・と言葉に詰まります」
店長の役割は個店の生産性を上げ続けることですが、かつては、チラシ訴求日、土日祝日というのがその優先順位日で 売れる日を重視することが大切であるとされてきました。
しかし、最近は 売れる日=人手を増やす日という構図が崩れつつあります。というのは売上は上がっても 人件費をはじめとしたコストがそれ以上に上昇しているため、売上だけにとらわれると締めてみたら利益未達成、前年利益割れというケースがおこるためです。
店長が見るべき営業レポートは、売上概算だけでは不十分で コストの動きも日々把握することが必須の時代といえます。
「システム部からはそんな投資予算はない!」という声がまたまた聞こえてきそうですが、実は、幸いなことに店舗には、ムダな作業がいっぱいありそれを改善し積み上げると、その投資予算を軽く上回るほどの金額になることがわかっています。
さらに、営業レポートが出ることで、店長業務が改善されるモデル店が出来れば、ムダのない、究極のローコストオペレーション店舗が出現することになります。
店長だけでなく誰もがムダな作業はやりたくないと思っているわけですから、改善することで店舗の士気も高まっていきます。
この営業レポートをザックリとお話ししますと、ポイントは2つです。
一つ目に必要なことは、売上のほかに、作業、商品、チャンスロス、といったロスが見つけられるものになっていることがポイントです。つまり異常値が見えるものでないとダメということになります。
異常値?ってなに?ということになりますが、計画に対する差異と思ってください。その基準値を超した項目の現場確認をするということになります。このレポートは店長やマネジャーが今日どこを確認し、いかに店のロスをなくしていくかという店長の作業指示書なのです。
それが、存在しないチェーン企業では、店長業務が決まっていないということになりますし、また、売上しか出ないチェーンは店舗はどう動けば利益が出るのか?わからない状況にあるということです。
二つ目には、毎日定時に そのレポートが出力され、365日すぐ手に持って使えるように紙で準備されているということです。
まさか、その資料を作るために朝早くから出勤していた店長がいたら パソコンで自動的に計算すべきことを店舗で一番時給の高い人が手作業でやってることになるわけです。
仮に、店長が毎日30分その作業をすると年間130時間これにかかることになります。6時間パート1ケ月分の人時が、何十年も投入され続けてきたことになるわけです。「管理職は残業がつかないから大丈夫!」などとブラックな発言をされる経営者はいないと思いますが、店長がこういうことをやってる店は、従業員がこれを見て同じことをやります。
まずは、店長自らが、ムダ作業をやめることなのですが、習慣化してしまったことは、「意識を変えなさい!」といって簡単にかわるものではありません。
そこで、最も効果的なのは、今のシステムをすべて組み替え「営業レポート」を作ってしまった方が、店長のルーティン業務が大きく変わり、店舗のムダは大幅減になるのです。
前出のチェーンでも「まず、この帳票を変えなくては店のムダはなくならない!」ことに着眼され、早速できるところから取り組み始めておられます。店長ルーティン業務が決まらないということは、売上人時、店舗コンディションが安定しない悪循循を繰り返します。
大事なことは、店長業務が、店舗ごとにバラバラとなってる実態を見直し、売上利益を最大化する仕組みをつくることです。
それは必要に応じた営業レポートを必要な日時に出力させることで、おのずときまってくる仕組みと言えます。営業レポートに限らず、資料帳票は商品と同じで、滞留させては時間、コストの無駄になります。
必要なときに ちゃんと出力され、決まった場所にそれがあって使える状態になっている。
そこを標準化しなくては、どんな素晴らしい最新式のシステムや端末を使ったところで、新たなムダが増えることになります。
まずは、今やっている全ての作業の棚卸を行い、それが利益に結びついた業務なのか?これを確認していくことが重要となってくるわけであります。
さて、貴社の店長は、早出残業の長時間労働からもう脱却されてますか?
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