現場での目標管理の本当の意味
もう、5年以上のお付き合いになる。
大切なご支援先がある。
その会社での研修を半年ぶりに、1日だけだが担当した。
社長とは既知の間柄だが、この経営者ほど人を育てることに会社ぐるみで真剣に取り組み、そして、一過性ではなく長期的な視点で「継続」している経営者を知らない。
学ぶことを、習慣にする。
同じことを、繰り返す。
・・・そこから、その時々で、気づきがある。
この社長の信念に呼応し、当初から、私の担当する研修は本質的な内容に特化している。
「何のために働くのか」
「何のために生きるのか」
「これからどんな人間に成長するか」
といったテーマに、年に1〜2回は取り組んでもらうことにしている。
しかし、このように教育に真剣に取り組む経営者の元には、そのマインドを受け継ぐリーダーが育つもの。
この会社では、会社の目的から個人に落とし込んだ目標を設定し、その内容を日々各自が実践していく、という取り組みを5年間ずっと継続している。
5年間、ずっと、だ。
研修で、学んだことを、日々の実践に落とし、結果を出す。
また、そこから気づき、学びにつなげる。
・・・このようなサイクルがある職場にしていくことは、とても難しいテーマだろう。
なぜ、続けられたのか。
最近の目標シートを拝見して、その理由がよくわかった。
職場の上司が、やり続けているのだ。
部下の日々のとりくみ、週ごと、月ごとの振り返りコメントに対する、上司のコメントがすごいのだ。
コメント欄に、びっしりと書いている。
一言、二言ではない。
しかも、その内容が明るい。
あたたかい慈愛と、感謝に満ちている。
上司の皆さんは、「目標を達成するか、しないか」という観点ではない。
「目標を管理しよう」とも微塵も考えていない。
日々、目標に向けて頑張る部下を信じて、よりそい、応援しているのだ。
その姿勢が、部下に伝わる。
だから、部下も、簡単には諦められない。
・・・こんなことが、日々現場で起きている。
これも、社長の姿勢を見本とした、幹部が、率先垂範しているから。
幹部は、何があっても、この「目標設定シート」の取り組みだけはやめない。
どんなに忙しかろうが、文句が出ようが、頑としてやめない。
継続すること、その中で「同じことでも新しい気づきが、その時その時のタイミングであるのだ」ということを知っているからだろう。
それを、幹部は、社長の背中から、学んできたのだ。
このような、「姿勢」の連鎖が起きるには、時間がかかる。
社長のことば、行動の意味を理解するのにやはり時間がかかるのだ。
だから、大切なのは、一貫性であり、継続することなのだと学んだ。
この会社にとっては、もはや「目標設定シート」は管理ツールではない。
上司と部下が、心を通わせるコミュニケーションツールであり、すでに「文化」になっているのだ。
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