「チェーン店の業務改革を着実に進めるには?」
「チラシのエンド作業ってやめることできませんかねえ?」あるチェーンの店長の声です。
そこには、社長や専務も同席していて、一気に賛成ムードになったのも束の間、運営部長の口から「これは、以前にも検討されたことがあって、やらない方がいいということになりました。」とか「現場で改善できることなので、プロジェクトで議論するほど大げさなことでもないので今回は外しました」とかいった発言が飛び出しました。
何時間もかけてヒアリングしてきたことが、どうしていとも簡単に消されてしまうのか?
プロジェクトを勉強会、研修?と勘違いされているのかどうかわかりませんが、上手くやり過ごすだけであれば、月次報告会議の延長版で結果は何一つ変わりません。
前職の時も経営トップの会議から現場にいたるまで、何百回も同じ光景を目の当たりにしてきました。
各部の部長が他人事のように改善の火を消していった結果、会社はあっという間に資金難に陥りました。
一方、プロジェクトで動きの速いチェーンでは、全く異なった結果がでてきます。
例えば、エンド陳列作業ひとつとっても、「陳列作業よりも、残品のいき場所探しに多くの時間がかかっている」ことに目をつけ、チラシ本数の見直しを決定し、当月内で人時実績が改善している事例もあります。
チラシは大きく掲載された商品が、売れるとは限りません。しかしチラシ掲載売場の商品ボリュームをつけなきゃならないし、品切れさせてはならないため、多めに発注してしまいがちです。気づけば、どのエンドも残品だらけ、メイン通路に中央分離帯のように置かれたカートラックにもエンド残品が陳列されてます。
さらには陳列場所がコロコロ変わるため、お客様から「以前あそこのコーナーにあった商品、どこにいったのでしょうか?」と作業中に尋ねられるので、各自の仕事が遅くなり残業になっていたのです。
チラシ本数の見直し効果はてきめんでして、お客様が商品を探すムダ時間を改善でき、残業時間もみるみる減っていったのです。
私どもはこれを「非効率業務の改善」と名付けておりまして、こういった利益を生み出さない作業を、見つけてはひとつひとつつぶしていくのですが、これをやりますと、店長の目は輝きますし、改善はスピードアップします。
私どもが現場に入り込んで聞くと、堰を切ったように「改善要望案」が出てくるのに、部長の頭を通過するたびに「解決済み案」に置き換わってしまい、これでは船体に異常があるまま、悪天候の海に船出をさせてしまうようなものです。
かつては、社長と現場の調整役を こなすにが「部長の役目」でありましたが、これからは、こうした「業務改善の視点や手順」が行動で示せなければ、現場の舵取りは危なくて渡すことが出来ません。
業務改革はけして楽なものではありませんが、誰でも楽しく進めるポイントはたくさんあります。
具体的には、店に行って、利益に結びつかないものを一週間、徹底的に探せば「その行動が言葉となって出てきます」しかし、人づてに聞いた話であったり、店に書類で出させた記述からムダは見つけることはできません。
こういった書類は一目瞭然でわかりますし、私くしも会議が不毛の議論にならぬよう、時に厳しく、時にやさしく、こうしてキッパリと言わせていただくこともあります。
「何も行動しなければ」取りまとめに時間はかかっても1円のお金も生みません。
「何か行動をおこせば」取りまとめは瞬時で終わり、大金となって生まれ変わる。
社長にとってはしごく普通の取り組みでありますが、業務改革は、店長を指導する立場の人が、一歩一歩着実に進めることが個店を強くする近道となります。
さあ、貴社の部長の背中を押す言葉!決まりましたでしょうか?
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