部下思いのやさしい上司が陥る罠
多くの会社には「人事評価制度」がある。
一定の制度に基づいて社員の評価をするものだ。
しかし、多くの社長が悩むのが、運用主体である管理者層が「正しく評価しているのか」ということ。
今回は、「部下の評価が、甘い・辛い、という議論は人事評価制度の目的を見誤っている。」という話をします。
人事評価制度の目的は、「部下をやる気にさせる」こと。
やる気になった部下は、提供価値を高めようと、主体的に成長努力をする。
運用主体となる、管理者層は、まず、この目的認識があるか。
では、「部下の成長」とはなにか。
それは、成長し「今まで出来なかったことが出来るようになる」こと。
考え方の変化から行動が変化し、仕事の生産性が向上することで、部署の業績〜会社の業績が改善する。社員の成長の集合体が、会社の成長となるのである。
その結果、組織全体のやる気水準もアップする、という結果につながると、さらに「相乗効果」が高まっていく。
個人差はあっても、部下がこの「成長の方向」に進んでいるかどうかで、その「評価」が有効になされてきたかは判断できる。
本来「評価」には、甘いも辛いもないはずだ。
会社の方針や理念に照らして、「方向はずれていないぞ、成長の階段を確実に登っているぞ、」ということを客観的な視点で伝えなければ「評価」ではない。
以前、ご支援先にいた管理者の方の話。
その方は、部下を思うあまり、「あいつは結婚して、子供もできて大変だ。今回だけは少し評価を甘くして、昇給に寄与し、やる気を高めよう」という。
この管理者は残念ながら、人事評価制度の目的を理解していないとわかる。
部下を「成長させる」、というプロセスの理解が甘いのだ。
昇給がやる気を高める、ということではなく、個人が努力して、「主体的に自分の提供価値を高めてよう」という道を選択することにこだわるべき。
・・・この結果、やがて結果が出て、顧客や組織へ貢献することで、部下の仕事や人生が充実し、仕事に対する姿勢が高い水準になっていく。
その結果、会社の成長に多大なる貢献をしてくれる人材へと育つ。
その上司とは、「部下への思いはわかるけど、それで本人の提供価値が継続的に上がるようになるでしょうか?」「本人が成長し、その集合体である会社が成長するにはどんな方法がありますか?」ということを、再度考えてもらうようにした。
部下の継続的な成長のためには、「いくら可愛い部下であっても、方針のズレや努力不足には、心を鬼にし厳しく評価することが、結局は本人の成長につながる」ということに、気づかれたようだ。
上司の甘い評価は、会社の目的や未来ビジョンの実現につなげる部下育成の重要性を理解していないことの反映。
さらには、上司である自分自分の成長に対する信念の弱さだ。
これはいずれ未来において、自分自身にも反撃してくることを理解する必要がある。
すなわち、やがて「優しいだけの、信頼できない上司」という、評価を周囲からされてしまうということだ。
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