ノーリスクという販売促進のやり方とは
前回のコラムで顧客支援という切り口の販売促進の事例についてお話をさせていただきました。コラムを読んでいる方から、「小売業やサービス業にも使える切り口についてもコラムに書いていただけませんか」とメールをいただきました。
原則、コラムの感想については、メールで受け付けておりますが、コラムの記事内容のリクエストは受け付けておりません。
しかし、今回メールをいただい方は、当方が知っている経営者(セミナー参加者)の方なので、顧客支援という切り口以外の事例についてご紹介したいと思います。
今回も事例をお話しますので、前回同様、1点だけお願いしたいことがあります。
それは、今回お話することについて、“考え方を習得してほしい”ということです。同じことを何度も繰り返すと、コラムを読む気が失せてしまうかもしれませんが、ここはものすごく大事なポイントになります。
だから、この考え方が理解できている方に対しては、いろいろな切り口を話しながら販売促進のアイデアを作り上げていきます。但し、この考え方が共有できていない方に対しては、販売促進に関しては、あまり事例のお話しをしないようにしています。単なるモノマネで終わってしまうからです。
よって、このコラムは不特定多数の方が見られているので、販売促進に関連する事例の発表を控えているのもその理由のひとつになっております。(本来は、この手の話の方が読者には受けるのは分かっているのですが・・・)
では、前置きが少し長くなりましたが、本題の事例に入ります。
今回は、小売店の花屋さんに自社商品を取り扱ってもらう販売促進です。取り扱い商品については、守秘義務の関係上、割愛させていただきますね。
よく使われる一般論として実施するのは次のようなものがあります。それは、顧客側の商品と自社商品を組み合わせて新しいコンセプトを開発して、その新しいコンセプトを貴店の顧客にアピールしませんかという方法です。
今回の事例でいうと、顧客側の商品はお花になります。そのお花と自社の商品をセットにすることで、そのお花屋さんが顧客に今まで提供していなかった、新しいコンセプトを提案することが可能になるので、貴店の売上が上がるという提案になります。
簡単に要約すれば、貴店のお花と自社商品を組み合わせると、新しいコンセプトの商品パッケージが出来上がり、顧客に目新しく映ります。このことから、顧客にとっては、新しいものを提案する楽しいお店に見えますよというものです。もっと要約すれば、商品のパッケージ化による新しいコンセプト開発という切り口です。
さて、上記の提案であれば上手くいくでしょうか???
前回のコラム同様で、中堅以上の企業であれば上手くいくかもしれませんが、中小企業であれば、少し厳しいように思います。(これは、あくまでも当方の経験です)
では、どうすれば良いのか・・・。
いろいろな考え方が出てきたでしょうか?
このお花屋さんには、以下の手順で提案を行いました。
1)お花と自社商品をセットにすることで新しい商品コンセプトが生まれて、お客様にとって目新しさになることを訴求する。
2)このセット商品がどのように販売されるのかを事前にイメージしていただくために、注)店頭什器と商品説明用のPOPデザインの写真を見ていただく。
3)事前に店舗視察をしておき、その什器がその店のどのスペースに設置できて、どのようなディスプレイになるか具体的にイメージしていただく
4)まずは、2週間テストトライアルを実施していただき、販売金額は、全てお花屋の収益にしていただく。
5)店頭什器の設置から撤去まで自社で全て行い、設置作業等の煩わしさは一切無いことを伝える。
6)2週間後、継続して設置いただけるのであれば、販売契約の締結をお願いしたいことを伝える。
注)店頭什器:店舗における商用の機材全般を指し、ラックやショーケースや商品ディスプレイ等のことをいう。
というような感じです。
一般論の提案に2)〜6)を追加して提案を行っています。
さて、ここでは、やり方を習得していただくのではなく、考え方になります。
1)の新しいコンセプト開発の切り口以外に何が追加されているでしょうか。
答えは、“ノーリスク”と“ディスプレイ支援”です。
もっと簡単に言えば、貴社に対してリスクは無くて、手間ひまかけずに今すぐに始められますという提案です。
文章に書くと、何だ!そんなことか思われますが、実際にこの提案を行うと、顧客からは次のような言葉を良くいただきました。
「商品コンセプトの提案は良く受けるけど、提案の段階で店頭の空きスペースに応じて、店頭什器や店頭POPをその場で提案してきたのは貴社がはじめてだよ。ましてや、設置期間の売上は全部当社にいただけるなんて・・・」
あえて、キーワードを追加すれば、顧客の店舗の空きスペース等の事前リサーチと提案スピード(店頭什器と店頭POPのイメージをその場で見せる)もあるかもしれません。
このように、ちょっとした提案の微差によって差別化が可能になります。
よって、このように考え方のキーワードが分かってくると、やり方よりも知恵が大事だということが理解いただけるかと思います。
そして、この知恵を生み出すには、なによりも考える習慣が大事になってきます。考える習慣が身につくと、本当に知恵の微差の勝負になることも理解できるようになってきます。
でも、多くの会社がこの微差を考えるということを放棄して、売りやすい商品や価格勝負に逃げているのが実情かもしれません。
これらのことから、当方がコンサルティングを実施する上で、考えて行動する人材の育成を大事にしているのかが理解いただけると思います。
貴社では、どのような販売キーワードで、販促のアイデアを生み出していますか?そして、微差の知恵を意識していますか?
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