重点取組課題が推進できずに結果がでない理由とは
「乾さん、先月、当社の重点取組課題を設定したのですが、上手く推進ができていません。何が原因なのでしょうか」という相談を受けました。
ここでは、取組課題の選定のやり方の良し悪しについては、ちょっと置いておいて、取組課題の推進が上手くいかない例について考えていきたいと思います。
まず、推進が上手くいかない理由として考えられるのは、“心の持ち方のマインド”と、“やり方”の2つが考えられます。
今回は、分かっていても、出来ていない項目でよく取り上げられる“やり方”について確認していきますね。
「では、やり方について考えられる項目はどのようなものがあるでしょうか」
やり方なので、色々なことが考えられますが、当方が経験してきた中で一番多かったのは、取組課題と対策がセットになっていなかったということです。
ここ、大事なので、もう一度、繰り返しますね。取組課題と対策がセットになっていなかったということです。
そう、取組課題は、対策とセットして機能するからです。
対策とは、一般的に取組課題を行動レベルに落とし込むための具体策になります。簡単に言えば、取組課題を5W1Hのレベルまで落とし込みます。
5W1Hとは、「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」という6つの要素のことを言います。
このことを説明すると「乾さん、なんか当たり前のことを言っていますよね」というお答えを良くいただきます。
ただ、この当たり前が分かっていても、出来ていなければ全く意味はありません。そう、“分かっている≠出来ている”の状態ではダメだということです。
一番、成果が出やすい取組は、“分かっている=出来ている”にするということです。(製造業では5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)が出来れば色々な成果が出やすくなります。このことについては、また、別のコラムで記載します。)
では、取組課題は対策とセットして機能することについて事例を挙げて説明していきますね。
例えば、ある会社で今月の重点取組課題で以下のことを取り上げました。
インターネットから収集した顧客リストを基にA地域で20社の新規開拓を行う。
そして、この取組課題を営業担当者に目標数値を振り分けて実行するように指示をして終わり・・・。
ここで、何か気づくことはあるでしょうか?
取組課題が行動レベルまで明確になっていないということです。そう、“明確さは力なり”という言葉があるように、行動に移すには、その取組課題を明確にしなければなりません。
例えば、ハワイに行きたいな〜という取組項目が決まった。でも、いつ行くのか、誰と行くのか、どのツアーにするのか、どのくらい行くのか等、具体的に決まっていなければ、ハワイに行くことは出来ません。しかし、これらが全て決まっていくとハワイに行くことが出来ます。
当たり前のことを言っていますよね。
でも、取組課題が行動レベルまでに具体的に明確になり、対策まで落とし込みは出来ているでしょうか?このことは、個人レベルではなく、組織全体のレベルとして考えてみてください。
当方は、取組課題が決定したら、対策に落とし込むために、9つの質問を行います。その9つの内、6つの項目以上が明確になっていれば行動に移せると判断しております。逆に、この6つの項目が決まっていなければ、取組課題が設定できても絵に描いた餅になると思っています。
ちなみに、この6つの項目は、「いつから」、「いつまで」、「誰が」、「何を」、「なぜ」、「どのように」になります。この中でも、大事にしているのは、「いつから」の開始日を決めることです。「いつまで」しか決めなければ、多くの場合、納期ギリギリになって忙しくて出来ませんでしたという答えをいただいたことが多かったためです。
“取組課題は対策とセットして機能する”
“明確さは、力なり”
この当たり前のことが実行できているでしょうか?
この当たり前のことは、取組課題を設定したら、少し時間を取って、少し深く考えるだけで実行することが出来ます。
でも、取組課題を設定したら、頭の中で出来たつもりになって、対策に落とし込むという作業を置き去りにしてしまっているケースも多いようです。
皆さんはいかがでしょうか?
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