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技術を活かして売上を一桁上げるには

SPECIAL

成長支援部づくりコンサルタント

ヒーズ株式会社

代表取締役 

会社の大元となる「総務」を革新すれば、すべての事業部に影響を与え、顧客志向になり、驚くほど業績が伸びる。経営者が着手すべき、「成長支援部づくり」を指導。

技術を活かして売上を一桁上げるには

先月ベンチャー企業の事業計画発表会に参加してきました。2社から発表があったのですが、その内の1社は繊維関係の会社で取引先も有名な大手企業がずらりと並んでいます。

そこそこ売上も上がっているのかと思って、話が具体的な事業計画の数字に来た時、前期の売上高を知り、「えっ、一桁違うんじゃない?」と思わず突っ込みを入れたくなりました。

その後、すかさず社長が「実は・・・」と言って説明してくれたのですが、この会社の場合技術的な核は持っているものの、現状では大手企業に納めて売上につながるのはサンプルの最小単位のみとのこと。このため、この会社の要素技術を使って大手企業は何百億円という売上が上がっていても、この会社の売上として計上されるのは1商品あたり数百万円に過ぎないのです。

ただ、この社長はかなりやり手の経営者のようなので、この現状にはけっして満足していません。大手企業への供給によって、市場がどこにあり、どんなニーズがあるのかが分かっているので、既に次の一手を打っている様子。このまま順調に行けば、今期は「一桁違う」とは言われずに済みそうとのことでした。

良い技術を持っていてもそれだけではお金になりません。そして、技術をお金と結びつけるには、その技術が現在そして未来のどんな課題を解決するのかを掴んでおく必要があります。

また、市場のニーズを掴んだら、具体的にその技術を使ってどんなプロセスで商品化するのか商品化にあたって不可欠なプレイヤーはどの会社なのかを上手くコーディネートしないとプロジェクトが前へ進みません。

そして、お金必要なお金をどうやって資金調達するかが最後は鍵になります。私の経験からすると、資金調達が上手くいかないケースの大きな原因は詰めが甘いことにあると感じています。

特に技術系の会社の場合「ウチの技術を使えば、こんなことができる!」と大きな夢を語っているケースはたくさんあります。でも、その「こんなこと」が社長の独りよがりで現実の市場のニーズとマッチしていないことがあります。

また、市場のニーズがあることが分かっていても、そのニーズに応えるためにどんなプロセスで進んでいくかという話になると、ほとんど内容が詰まっていないことも少なくありません。

特に今の日本の場合、大きな夢を追いかけてチャレンジすることに対して、あまり積極的とは言い難い状況です。たとえ、その技術が本物で、将来有望なものであっても、それがお金と結びつく道筋が見えない限り、短期間に大きなお金を資金調達するのは至難の業

実際、事業計画を発表した社長の場合も、内容的にはかなり詰まっているように感じましたが、実際には米国の企業の交渉を優先して進めていました。

マーケティングとファイナンス。残念ながらどちらも海外で生まれたものが周回遅れで日本に入ってくるのが今の現状です。でも、古くは近江商人が「三方良し」を唱え、米相場では今で言うところの「先物取引」を行っていた日本。技術力だけでなく、マーケティングやファイナンスでも、ビジネスの素養の部分ではけっして海外に負けないものを持っているはずです。

せっかくの技術もマーケティングとファイナンスに結びつかないと宝の持ち腐れ。

潜在力のある会社を1社でも多く世の中に知らしめるようこれからも更に知恵を絞っていきたいと思います。

 

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