オレの商品を特別にする秘密は、“感動”。
「ア~ァ、感動がないんだよな〜、このそば。」「えっ?、感動ですか?」
「いや~、なにも、高級な蕎麦を食べたいんじゃないんだ。普通に食べて、普通に『あ〜、美味しかった』とおもう、それが“感動”だとおもうんだ。食べて、失敗したと思う蕎麦には、感動がないんだよ。」
T社は、産業廃棄物収集運搬事業を営んでいる会社です。
ノグチ、T社訪問のお昼ご飯は、毎回社長を含め事務職員全員でいただきます。
どうやら“先生”がくる日は、店屋物を取って先生=お客様のご相伴にあずかるという古いけれど、なじみのイイ事務職の習慣です。
今日も、いつもの蕎麦屋の出前です。
蕎麦をすすりだしたら、社長の「感動がない。」発言です。
「感動ったって、すごい事を要求しているんじゃなくて、単に『あ〜美味しかった。』を言いたいだけなんだよ。この蕎麦屋も昔は美味かった。でもね、今の店主は誰の忠告も聞かない『まずい・高い・しょっぱい』の三拍子だ。」
社長夫人が、すまなそうに、古くからの取引先で、経営者が娘の同級生で、その娘の子供とも一緒の幼稚園でと言い出します。
「いや、君をせめてないよ。ただ、こんなじゃダメだ。ウチだって商品には感動をつけたいって思っているのに、食べ物に美味しいな〜っていう感動がなかったら、商売してないに等しいよ」
今度は経理担当が社長の言葉に驚いています。
「ゴミ屋の商品に感動があるんですか?」
「だからさ〜、ウチは他社よりちょっとお値段高い。それなのに何でお客様が増やせるか?そこに感動があるからだろう。オレは、法令遵守を徹底するんだ!」
「ゴミ屋」で「法令遵守」で「感動」???
社長には、「風が吹けば桶屋が儲かる」ゴミ屋版ストーリーがあります。
「法令遵守」は至極当たり前の事ですが、ゴミ屋の中で法令違反が未だにあると聞きます。当たり前の法律がきっちり守られないのは、費用を掛けずに利益を得たい輩がいるからです。どんな商売も、手を抜いた作業をすれば、粗悪品が作られます。
ゴミにも、粗悪なゴミときちんと処理されたゴミがあります。
きちんと処理されたゴミは、環境にやさしい、リサイクルされる、再利用できる。
粗悪なゴミは、環境を汚し、二酸化炭素をまき散らし、生物を傷つけます。
と、その前にゴミを扱う業者は、許可を受けて仕事をします。
粗悪な作業を行う業者は、都道府県の定期調査、人の噂、近隣からの通報、警察の摘発により業務停止となります。
許可を受けない業者を使うとこれまた業務停止、一切の仕事ができなくなります。
経営者が罰せられるので、新たな事業は興せません。
つまり、商売したけりゃ、「法律守って」、「汚いゴミをきれいに扱って」、「お客様にゴミをきれいに扱える仕事ぶりに感動してもらい」、「お客様を増やして、ゴミも増やして」儲かるサイクルを作っていく事が欠かせないのです。
ズ~っと儲かるためには、粗悪品は絶対作らない。
ズ~っと儲かるためには、毎日毎日現場はきれいで清潔。
ズ~っと儲かるためには、法令遵守をお客様に伝え続け、実行し続けている事を伝え続ける。
当たり前のことを当たり前にし続けることで、喜んでくれるお客様がいます。
自分の仕事で、喜ぶお客様を見れば、従業員も又嬉しいのです。
感激する特別サービスではなくていいのです。いえいえ、特別はダメ。
特別ができる程の単価ではなく、ちょっとだけ高い単価、です。
期待したとおりのサービスで、想定した金額で、安心できる会話がある。
しかも、その会社の社会貢献を記載した資料が、さりげなく手に取れる。
お客様は、自分の消費行動で社会貢献していることを自慢したくなる。
きれい事ばかりではありません。
誤って、不法投棄をする業者に自分のゴミを預けてしまったら、どうでしょう?
預けた方も、犯罪者です。警察がやってきます。
たくさん売りたいのは、皆同じです。
売るために何をするかは、経営者によって違います。
付加価値をつける、新製品をつくる、宣伝をする、売上アップはみんなの願い。
この社長さんのように“感動”をつけるという考えもあります。
何より、原価率がアップしないのがイイと社長さんは笑っています。
蕎麦屋もゴミ屋も病院も、実は皆同じ
世の儲かる社長たちにとって商売の基本は同じです。
トイレが綺麗、待ち時間が短くて、伝票がすぐ回ってきてお金の支払いがスムーズ
従業員は、いつも同じように丁寧な挨拶をし、店内は清潔感に溢れている。
客の要望に、落ち着いて答え、しかもどのお客に対しても同じように親切。
こんなお店で買い物したい!食事をしたい!サービス受けたい!
繁盛店は、お客様が喜ぶ“感動”をあちこちにちりばめています。
さらに、会社が社会の役に立っているところを、お客様に訴えます。
自分の商売で、社会貢献して世のためになっているところを顧客に伝え、その活動を行動の数でも訴え続ける。
お客様も行動し続けている事が分かるから、評価するのです。
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