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第27話 社長が伝えた経営情報が無視される本当の理由

SPECIAL

プラチナ社員づくりコンサルタント

株式会社園田コンサルティング

代表取締役 

労使交渉1千回以上の実績から、社長と社員の夢を一体化する仕組みを体系化、「プラチナ社員づくり」コンサルティングを行う注目のコンサルタント。ブラック社員をつくらず、社長の夢に共感して一緒に働いてくれる社員を独自の対話方式で生み出す仕組みづくりは、人手を多く活用する企業から熱い支持が集まる。

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「ソノダさん、社員に伝えなければならない情報が色々とあり過ぎて、私自身も混乱しています・・・」

顧問先の管理職の言葉です。経営者から「社員に情報を伝えるように」と指示されても、どんな順番やタイミングで社員に伝えるべきなのか、今ひとつ整理できず、とにかく指示されるがままに、受け取った情報を右から左に流しているだけ・・・という状況のようです。

当たり前のことですが、経営情報は、社員に伝えてそれで終わりではありません。「私たちのことを、ここまで考えて情報発信してくれている・・・」と社員が経営者に信頼感を持ち、その信頼関係に基づいて、一人ひとりが自律的に課題解決に当たる(=経営に参画する)からこそ、経営情報を発信する意義があるのです。

前述の管理職のように、自らが経営情報に振り回されているようでは、経営者の想いは社員に正確に届かず、経営者と社員の信頼関係はいつになっても醸成されません。

それどころか、こうした管理職は、マネジメントの圧力から逃れるために、自らの保身に走り、「俺だって経営者が何を考えているかわからないんだよ・・・」といった無責任な言葉を発しやすいものです。その言葉の積み重ねが、経営者と社員の信頼関係を蝕んでいることも知らずに・・・。

経営者・管理職が、経営参画につながる経営情報の発信をするために、工夫すべき点は何でしょうか。その答えは次の言葉にあります。

それは・・・「喰いきり」です。

懐(会)石料理をいただく時に、ひとつの料理を食べ終えた頃を見計らったように、次の料理が出されます。これが「喰いきり」です。料理を出す側だけの都合だけでなく、食べる側の年齢、体調そして食事のスピードにも気を配った配膳方法です。「料理を出してやるから喰え!」ではなく、出す側と食べる側が、会話を交わしながら、食事が進んでいくのです。

経営情報の発信において、社員は「料理(=情報)を食べる側」、経営者や管理職は「料理(=情報)を出す側」です。例えば、社員が「全社経営ビジョン」や「現場の事業計画」という料理を喰いきっていない内に、経営者や管理職の都合だけで、「社員の業績目標」などの料理を出しても、社員自身の能力向上や成果達成が、どのように会社業績に向上につながるのか・・・という肝心なところが味わえなければ、食べ残し(=無視)され、捨てられるだけなのです。

だからこそ、経営者や管理職は、経営計画説明会、決算説明会、現場の事業計画説明会、個々の社員との人事面談という様々な経営参画の機会を、懐石料理における一品一品の料理と捉え、社員が説明内容を十分に腹に落とし込んだ頃を見計らって、次の経営参画の機会を設けるという「参画の段取り」に気を配らなければならないのです。

企業規模が大きくなれば、中堅社員と新人社員、職掌毎、職種毎に、料理を食べるスピードも異なってきますから、よりきめ細かな段取りが必要になってきます。逆に中小零細企業では、経営情報の発信だけに時間を割く余裕はありませんから、発信する情報・機会の取捨選択を行うことが非常に大切になるのです。

もし、管理職が「参画の段取り」を考慮せずに、一度に済まそうとしたり、ある参加機会だけを省略したり、適切なタイミングで実施しなかったりすれば、社員の頭の中で、「全社経営目標⇄現場の事業計画」「現場の事業計画⇄自分の業績目標」といった「納得の連鎖」が分断されます。そして、経営者に敵意を持つブラック社員は、この連鎖の分断を捉えて、「経営戦略の実行⇄社員の不幸」と鎖を繋ぎ変えてしまうのです。

社内に労働組合がある場合、段取りを間違えると、労使交渉における会社側の説明のつじつまが合わないとか、説明責任を丁寧に果たしていないとか、交渉姿勢を追求されるだけにとどまらず、労働組合側に交渉の主導権を奪われてしまいます。そうならないためにも、協議や交渉の段取りもすり合わせることが大切になります。

社員の立場になって、経営参画の段取り(順番と意味)について考えたことがありますか?

 

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