売上増大のヒントは「高い壁」の向こう側にある
「あの会社が導入していているのなら間違いのない商品に違いない…そう思われるような取引先(インパクトユーザー)の事例を歌わないと波及営業は使えないのでしょうか?」
7月20日に開催した「波及営業戦略の実践法セミナー」で、頂いたご質問。
このテーマは、特殊な部品メーカーや特殊技術をもった素材メーカーさんをお手伝いするときによく出くわす、とても歯がゆいテーマでもあります。
波及営業は、インパクトユーザーのネームバリューを用いて、購買心理への働きかけるために、肝心の「導入実例」が紹介できなければ、波及営業は使えないのかも…。
たしかにそういった疑問を持つのは不思議ではありません。
しかし、それは表面的な捉え方に過ぎません。
現に、取引先の名前を一切露出せず、かつ実例紹介も全くない状態で、波及効果の高い新規開拓を成功させてきた実例をいくつか経験しています。
具体的には、ウェブサイトやダイレクトメールまたは、広告等を利用した《遠隔戦》を使わず、営業マンによる《接近戦》で仕掛けいくのです。
非顧客を見込客化する集客プロセスにおいても、実例紹介なしで強力な反応率を叩き出すノウハウもありますから、この集客ノウハウと接近戦を組み合わせれば、波及営業は充分に効果を発揮してくれます。
従って、「御社と取引していることは、他社に教えたくないし、公表もされたくない…」と顧客に言われても意気消沈する必要は皆無です。
逆にチャンスと捉えることができます。
極めて秘匿性の高いプロジェクトだったので、具体的な企業名や事業分野はオープンにできませんが、以前こんな経験をしました。
あるプロジェクトでクライアント企業さんの顧客のインタビューを行ったときのことです。
インタビューを終え、実例記事を作り、ホームページやチラシ、営業ツール等で使おうと編集をしていたところ、インタビュー先から「あの取材内容はオープンにして欲しくない」という連絡が入りました。
購入する前の期待値。
購入する前の不安事項。
購入したあとの評価。
具体的な導入効果。
導入効果から派生させる企業利益やコスト低減ポイントなどなど…
インタビューにおいては、「拡販にあたって有利になる材料」を根掘り葉掘り聞き出していきます。
そして、非顧客が顧客になるまでの感情や心理プロセスを思い浮かべながら、欲求を引き出したり、購入に際する不安を払拭する「構成」を思い描いていくのですが…
これをすべて具体的に表現してしまうと、他社から簡単に模倣され、自社の競争力が一瞬にして奪われてしまうリスクが顕在化してしまったのです。
顧客との長期取引をする上でも、そして企業活動よりも前に人としての倫理観においても、この顧客企業の不安やリスクを無視するわけにはいきません。
しかし、元々は顧客企業の生産性を高める目的で作った商品です。
個別企業の企業秘密は守る必要がありますが、自社が問題解決したテーマは、自社のノウハウです。
決して、顧客企業のノウハウではありません。
そして、そこまで情報公開に対して不安になるということは、その業界自体の問題解決のキモがそこに確実に存在するというサインでもあるのです。
取材拒否や情報開示を断られ、拡販材料が得られない…という壁が立ちはだかっても、それは「偽の姿」です。
「真の姿」は、売上増大のネタがゴロゴロと転がっているというサインなのです。
壁をストップサインと受け取ると大きなチャンスを見落とします。
なぜなら、その壁はゴーサインだからです。
御社では、顧客企業から「当社との取引は秘密にしてほしい」と言われた、そのひと言を鵜呑みにして、大きなビジネスチャンスを逃してはいませんでしょうか?
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