成功体験が足かせに!
「もっと販促費を減らすことを考えませんか?」と話をしたところ、「販促費を減らすと、売上が下がってしまうので現状のままでいい」と顧問先の社長はおっしゃいました。
売上高対販売促進費比率は標準的な数値にはなっているものの、過去の実績、競合店との関係性、そしてエリア分析のデータを総合して考えれば販促費は下げられると考えていました。
そこで、年間の販売促進計画を一覧表にまとめて社長に提出して見たところ、やはり「売上が下がるので、販促は減らさない」と同じ答えが返って来ました。
この会社からコンサルティングの依頼を受けたのは「原価率が高すぎるので、利益率を上げながら、売上を伸ばしたい」という理由からでした。
利益率が低かったのは、割引が多く、その上原価率をかけ過ぎていたことが原因だったため、商品と品揃えを改善することで修正をしました、
売上が伸び悩んでいた理由はいくつかありましたが、その1つに販促量の不足が起因していました。そのため、チラシの表現自体も変更をしましたが、チラシを配布する量も増やしてもらいました。その結果、2ヶ月後には1店舗の平均月商が150万円増えたのでした。
「やっぱり、ある程度販促費は掛けないと伸びていかないね」とこの結果をみて社長は非常にうれしそうに語ってくれました。それからは、コンスタントにチラシをまき、HPを作って売上に対して一定比率で販促費を使って売上を伸ばしていきました。
売上が伸びてくれば、次は経費を抑えて利益を上げる段階に入ります。
出前・宅配において大きな経費は、原材料費と人件費と販促費の三つです。
原材料費は、熟慮をかさねて商品を作り込んできましたから、ロスを出さないことが利益に貢献します。人件費は、無駄を見直すことで削減することは可能です。販促費は、データに基づいて考えれば削減しやすい経費です。
ある程度、商圏内で店(会社)の認知度が上がってくれば、販促費を抑えても売上は一定水準を保てます。そのため、常にエリア分析をしながら、販売促進計画を立てていきます。
この店もエリア分析はしていたのですが、販促費の削減には手を付けていませんでした。その理由は「販促費を削ったら、また元の低い売上に戻ってしまうのではないか?」という過去の負のイメージが根強く残っていることと、「販促費を掛ければ売れる」という成功体験が社長の行動を縛っていたのです。
販促費を下げても売上は確保できるとデータから考えていたので、チラシにある仕掛けをして販促の効果を測定しました。そのデータをみて、やっと社長は納得してくれました。そして、販促費を25%削減することができました。
過去に成功したために、従来のやり方に固執してしまっては、新しい発想は生まれませんし、売上と利益は伸びなくなっていまいます。
あなたの会社では、過去の成功体験に固執せずに、新しい発想を取り入れていますか?
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