質問の切り口を変えて問題解決の糸口を見つける
先日近所へ買い物に出かけた時、途中で小さな男の子に会いました。
「京王よみうりランドへはどうやったら行けるのですか?」
「そこの駅から相模原線に乗れば行けるけど・・・」と答えると、その子は「お金貸して下さい!」
よくよく話を聞いてみると、「自宅は京王よみうりランド駅の近くにある」「今までおばあちゃんと一緒にいたが、はぐれてしまった」とのことでした。どうも迷子らしいので、「じゃあ、おまわりさんのところへ行こうか」と言って、交番に向かって歩き出しました。
その子は既に半べそ状態。「大丈夫だから、泣かないの」と励ましつつ、「どうしてここに来たの?」と聞いたら、「赤ちゃんが産まれたから」。
実は私がその子に会ったのは駅近くにある産婦人科病院のそば。男の子に更に聞いてみると、その病院で母親は出産したことが分かったので、交番に行くのは止めて、病院に向かいました。受付で確認すると、確かに母親が入院していることが分かり、後は病院のスタッフの人に任せて私はお役御免となりました。
この男の子がどういう経緯でおばあちゃんとはぐれて迷子になってしまったかは分かりません。また、すぐ近くに母親のいる病院があるのに、なぜ知らないおじさんにお金を借りて電車で帰ろうとしたのかは不明です。しかし、恐らく急に一人になって訳が分からなくなり、ちょっとしたパニック状態になっていたのだと思います。
私も最初は彼の話があっちこっちと飛んで正直よく分かりませんでした。でも、彼が「赤ちゃんが産まれたから」と答えたあたりから、だんだんと話の筋がつながってきたのです。自分の名前もしっかり言えたし、母親の名前も言えたので、病院でもすぐに結果が判明したのは助かりました。
ところで、会社においても何か問題が起こった時、当事者はかなりパニックになっていることがあります。このため、普通であれば冷静に判断し、行動できることができないというケースも少なくありません。
そんな時は第三者が冷静な立場からどうすれば一番早く問題が解決できるかを把握する必要があります。その際、角度を変えて質問することが有効です。
先の男の子の場合も「どうして迷子になったのか?」という疑問に対しては最後まで納得のいく答えが出ませんでした。しかし、「どうしてここに来たの?」と質問することで、結果的には交番に行くよりも早く問題を解決することができました。
子供と違って大人の場合は、話したくても話せない事情や自らの立場を守るためにあえて話さないということもあります。パニックになっている場合はまずは落ち着かせ、その上で切り口をいろいろ変えて質問する。
日頃からスピードを重視している経営者にとってはややまどろっこしいプロセスかもしれません。けれども、一緒になって怒ったり、焦ったりしてはかえって問題解決が遅くなるだけです。
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