価値ホスピタリティで収益を最大化する『絶対価値創造』とは?
ホスピタリティが時代に求められる理由とひとつに、『相対価値』と『絶対価値』という考え方があります。
相対価値とは、相手との比較、つまりライバル企業との比較により、競争を勝ち抜く価値付けです。
一方、絶対価値は、他社は関係なく自社のあるべき姿を追い求める、世の中の絶対的な真理、本質を追い求める価値付けです。
ライバルとの競争ばかりを追い求めることで、価格競争等で負のスパイラルに陥り、コストを下げる為に産地を偽装したり、燃費の偽装、耐震偽装など、競争優位に立つという戦略が、結局、情報過多の現代においては、隠し通せるはずもなく、逆に顧客を裏切り、信頼を失う結果になっています。
それだけ厳しい時代であることは確かですが、今こそ、商売の原点に還り『世の為、人の為に尽くす』、『働く=傍(はた)を楽(らく)にする』という
『他者貢献=ホスピタリティ』の考え方が重要となります。
それでは、どのようにすれば、絶対価値を追求できる企業になるのでしょうか?
それには、まず経営者がその大切さを従業員に伝えるということです。
実際にはそんなことは分かっていても、結局は、会議では数字のことしか議論されず、そうなると日々の職場でのやり取りも、終始競合他社の動きや、更に価格を安くする方法を模索したり・・・と相対論ばかりが飛び交います。
これでは、幾ら『絶対価値』の大切さが分かっていても、社内にその考えが浸透することはありません。
普段から、『お客様ありき』の議論が会議や普段の職場で飛び交い、お客さまの喜びの為に、自分たちがどうあるべきかを日々追求することが重要です。
例えば、会議の中で必ず『お客様の喜びの声を共有する』時間をつくったり、悪いことばかりではなく『契約に至った喜びの声』を受注した営業マンに発表してもらい、みんなで拍手して、社長が『もっとお客様をしあわせにしよう!』と毎回、会議の場で断言することも会社のムードを前向きにします。
そして、もうひとつ大切なのは経営理念の浸透です。
営理念とは『企業としてのブレない軸』であり、『自社がどこに向かうのか』といった企業の価値観を明文化しています。
その内容は主として『お客さまのしあわせ』や『従業員のしあわせ』、『地域社会への貢献』などが明記されていることが多く、この考えや価値観が社内で浸透していれば、前述のようなお客様を裏切る行為は起きないはずです。
一般的には、朝礼や会議の前に経営理念を唱和するといったことで浸透を図っているケースが多いのですが、そんなことで浸透できるはずがありません。
やはり、スタッフひとりひとりが、その事について考える時間を設け、スタッフ同士で、現場で起きるケースを想定して、経営理念の基準に沿っているのかどうか議論するような機会を会社側がつくるなどの努力が必要です。
ある企業では、全スタッフを対象にした『経営理念座談会』を開催して、約10名くらいのグループに分けて、経営理念、行動指針に関する話し合いを設けています。
そして、経営理念の抽象的な表現を、自分たちの現場で実践する具体的な行動に落とし込み、自分たちで考えて決めて実行し、毎週、そのことについて自分たちで振り返るということを継続しています。
そのことにより、それぞれの正義を主張するだけだった以前に比べて、経営理念という価値観を共有して建設的な意思決定をするようになり、社内の風通しや部署間のコミュニケーションも圧倒的に良くなりました。
私の以前勤めていたホテルでも、『ホテル全体の成果や利益を共通の目的として行動すること』という行動指針がありました。
それまでは、私はブライダルの支配人として、婚礼に参列されるゲストの宿泊を1部屋でも多く提供して欲しい。宿泊の支配人は、婚礼のお客様より少しでも高い料金で、リピーターのお客様を優先的に予約を取りたい。
両者の言い分は正しい訳です。
しかし、この行動指針ができてからは、それぞれの各部署の予算はあるけれど『ホテル全体の利益』という基準ではどうか?という判断ができるようになり、ホテルの収益の最大化が図れるようになりました。
このように、現場では日々、様々なことが起こっています。
そのひとつひとつに対して、日々スタッフがどのような考えを持って仕事しているかの積み重ねが、企業価値を最大化することとなります。
ある方の講演で『神様が味方をしてくれるような仕事をしなさい』という言葉が印象に残っています。
まさに、他社の動きばかりに翻弄されるのではなく『自社がどうあるべきか?』 『自分達はお客様にどんな価値を提供するのか?』『どのような仕事をすれば神様は味方してくれるのか?』ということを追求することが求められています。
あなたの会社では『相対的価値』を追求していますか?
それとも『絶対的価値』を追求していますか?
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