考えない人材を考える人材に変える、ただ一つの方法
IT系のクライアント、コンサルティングの工程は中盤に差し掛かっています。都心の事務所に訪問しての社長の第一声です。
「矢田先生、うちの会社には、考えない社員ばかりです。うちのような会社には、優秀な人材は来ないのでしょうか?」
矢田は事情をお聞きしお応えします。「いえ、すでに御社にも居るはずですよ」――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人材の優秀さを観る際には、下記の基準を使います。
レベル3(優秀な人材)
自分で問いをつくり出すことができる。この人材は、作業をしながらも、頭の中で、絶えず考え続けます。
・・・この作業をもっと効率よくやるためにはどうしたらいいのだろうか?
・・・なぜこの手順でやっているのだろうか?
優秀な人材は、問いの無いところで、問いを自分で生み出し考えます。
レベル2(並の人材)
問いがあって初めて考えることができる。この人材は、なにか問いを投げられた時に、初めて考え始めます。
「この作業をもっと効率よくやるためにはどうしたらいいですか?」
「この手順で、何か課題はありませんか?」
レベル1(人・・・人材とは言わない)
答えが有って初めて考えることができる。明確な答えが有って初めて考える、明確な答えを強く求める、考えるのではなく自分の記憶(知識)で答える。
問いと回答が一対である学校教育の場では優秀かもしれませんが、社会では答えがあることが無い。この人には、短調な作業しか依頼できない。
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私たちの会社に欲しい人材は、レベル3の「問いを生み出す」人材です。特に、サービス的な要素が大きい事業をしており、1人のスタッフが多くの業務をこなす必要がある中小企業では、なおさらです。
この「問いを生み出す力」は学歴とは全く関係がありません。学歴とは、問いに対して正しく答える力の証明です。そして、性別や雇用体系も関係ありません。事務部門のスタッフ、パートタイマー、作業員の中にもその人材はいます。
その人材を上手に見つけ活用することが、採用力の弱い中小企業では必要です。
ただし、本当にこのレベルの人材が全く社内にいない会社もあります。正確に言えば、いなくなった。
こういう人材は、どんな環境どんな作業をしていても、絶えず考え続けます。だから、「不合理」や「不効率」を皆が認識しているのに、一向に進展がない職場では、ストレスを感じることになり、その会社を去ることになります。
こうして優秀な人材は、その貴重な能力を発揮することなく、自社を通り抜けていくのです。
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2-6-2の法則というものがあります。
「優秀な人2割」「普通の人6割」「パッとしない人2割」
人々が集団やグループを構成した場合、このような内訳になるという法則です。
我々には優秀な人材を見つけ引き上げることと同時に、この普通の人すなわちレベル2の人材6割を上手に活用する取組みが必要となります。
人材活用の上手な会社は、並の人材の活用の仕組みを持っています。優秀な人材2割は、放っておいても考えます。並の人材6割は、放っておくと考えません。でも、この人材を考える人材に変える方法があります。
それは、この人材に対し「問いを投げかける」ということです。
- この不良を減らす方法について意見を出してほしい
- この業務マニュアルを改訂してほしい
- チラシのデザインを提案してほしい
- イベントのアンケート用紙を作ってほしい
この問いにより、脳を使い始めます。日々は単調な作業の繰り返しかもしれないが、課題を与えることで、作業の中に「考える」という仕事を背負わせることができます。しかし、多くの企業では、この「問い」を与えることなく、日々淡々と作業をすることに任せています。
そして、ある日突然「意見はないか?」と求められます。そして、「考える人材がいない」と嘆かれたりします。
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どんな会社にも、並の人材はいます、それも沢山います。その人材に、その人材が少し頑張るレベルの「問い」を投げかけて活用します。それを繰り返し、考える習慣を身に付けさせます。これが「教育」となります。
その「問い」について考えた経験は、その後もその人材の中で残り、同じ状況で「再起動」することになります。それにより、応用が出来る様になります。
適当な「問い」を投げてください。社員に「問い」を背負わせる仕掛けを、経営計画のPDCAや人材育成の仕組みに織り込んでください。
冒頭のIT企業、あれから1年、応接室から出るとミーティングテーブルで若い男女スタッフ数名が活発に議論しています。
『矢田先生、彼女は子育て中のパート、彼は派遣のスタッフです。どちらも正社員になってほしいと思っています。』と社長。
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