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「社長の情」は、会社のためならず?

SPECIAL

10億ビジネスの経営数値成長戦略コンサルタント

株式会社ノグチ経理相談室

代表取締役 

同族会社の業績を、10億20億事業に成長させる「経営数値」コンサルタント。客数や客単価・生産性などの業績を現す数値と、財務諸表の数値とを統合させることこそ、同族企業の成長の根源であると、「儲かる社長が押さえるべき商売7つの数値の法則」として体系化。頼りになる指導と、評価が高い。

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「ウチの社長、最後の最後で情が出ちゃうからな~。はじめに厳しく出ちゃうと、ちょい優秀なのは辞めるし、ヨワッチイのには、すがられるしー、、、、、。」 

医療介護施設運営会社の総務部課長kさんのぼやきのような、本音の一言です。

この時期 賞与の支給額を検討するのが、総務課長の仕事です。

「社長から、数字のことはノグチ先生に聞いておいてと言われました。」

と話しはじめました。

もちろん、労働分配率の計算方法はお伝えするのですが、それよりもKさんの心配顔をのぞき込んで 聞いてみると、出てきたのは「社長の情」についてです。

 

医療介護の世界は、人手が頼りです。

人がいなければ、どんなすばらしい施設を作っても開業できません。

開店ができなければ、当然売上もなし。

 

当然ですが、人が人を診療し・介護する、のですから、国・地方行政団体はその施設が十分な医療・介護をできるか厳しく審査して認可をおろします。

認可をおろした後も、基準が充分に満たされているか、調査を行います。

 

人材の基準は、医者・看護婦・介護・施設運営の事務まで細かなものです。

さて、人材基準を満たして運営を開始したとしましょう。

人は、時に病に倒れます。子供が病気・親の介護・冠婚葬祭・加えて年次有給休暇等々、ロボットのように働き続けることはできません。余力が必要になります。

 

介護の現場で、この余力が不足しているのは皆さんご承知の通りです。

そもそも人員が足りない。

その上退職者が出る。

だからもっと募集人数を増やす。

 

実は、医療介護の現場だけでなく総務部門もへとへとに疲れています。

日本のお役所は、国民の管理を「従業員だから」と、会社に丸投げしています。

賃金規定・就業規則・労働契約に始まり、日々の勤怠管理・給与計算、雇用保険・労働保険の手続き・社会保険の加入・所得税や住民税を徴収して納めて等々

 

人が辞めて・入社する、とその仕事は社員数の2倍。

仕事は、終わりの見えない「倍倍ゲーム」のようです。

 

社長さんは、人材の定着率をあげる対策をいろいろ考えました。

従業員が一番気にするものそれは「給与」、目に見える「給与明細」です。

会社としても業務によい影響を与える数々の「手当」の設定です。

 

採用面接の最後は社長です。

応募人数が減ってくると、どうしても採用確定したくなるのが人情です。

基本条件で金額設定していたのに、鶴の一声が加算されます。

 

基本給は、入社年度や地域によって違います。その数10種類。

各種の手当もその基本給によって計算されるので、700人の給与計算は、まるで一人ずつ金額を拾っていくようなスゴ技となります。

施設には、それぞれの施設長がおり、人の評価もそれぞれ感があります。

よりよく評価してあげようタイプもいれば、職務の水準を高く持ち評価する施設長もいます。自分では判定を避けている風な施設長もいます。

そこへ賞与となると、業績はどう反映されるべきなのか?

課長は資料をそろえて社長にあげるまでが仕事だ、としても、その資料が社長の判断を左右しかねないから、とても不安になります。

 

基本給×月数という方式は、基本給が、従業員の職能給として妥当である事が前提。

入社時期や、施設の場所で基本給が違う場合は、この方式では無理です。

しかも、施設ごとの貢献業績は違うのだから、それを全社一律とは、、、?

 

なによりも悩ましいのは、「もっと募集人数を増やして!」社員数だけが伸びて、賞与の支給原資である利益は縮小し、それが、社長の「もっと手取りを増やして」「社員の定着率を上げたい」という「社長の情」と真逆の結果を生む危険を感じるからです。

 

人を入れても、すぐには現場で使えません。

理由は、簡単。

人が足りてない現場に「新人」をいれても、この「新人」を職場で欲求される基準まで職務訓練をする人材が、この現場にはいないからです。

人の足りていない現場で仕事を全うしようとしたら、「新人」を訓練する時間がないからです。

 

医療介護の分野だけではなく日本の経営者の多くが、この「社長の情」と、「人件費の上昇」で苦しんでいます。人件費の上昇を放っておけば、結果、会社は立ちゆかなくなる、のです。社長が望んだものと 真逆の結果です。

冷たいようですが、「経営の理」、利益を出さない限り、社員を増やすことはできないし、地域・国に医療介護で貢献することもできないのです。

 

現在の状況を、数字でハッキリ見る、ここから始まります。

数字は、推移と傾向を現します。

3期・5期と比較をすることで、会社の業績推移と社長の労働分配率傾向がハッキリします。

 

K課長さんは、在職10年目。

全体を見渡す事ができる人材です。

社長の気性も、情も、懸命さも、全部含めてついて行く人のようです。

話し終えると、満面の笑顔で社長は、本当に情のある人です。」と嬉しい一言をいただきました。

 

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