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数字を読む ― 7,451億円 ―

白川博司
SPECIAL

通信販売コンサルタント

株式会社四方事務所

代表 

通販戦略なくして事業の成長はない! 20年間にわたり、300社以上の通販立ち上げに携わってきたプロコンサルタントが、経営者のための通販視点とこれからの事業発展の重要戦略について提示。

コンテナ

この数字は、国際競争力が弱いとされてきた日本の農林水産物・食品の2015 年の輸出額である(農水省発表)。

13 年に和食が世界無形文化遺産に登録されたことを転機に、海外で和食ブームになっていること、政府が農産物などの輸入規制の緩和を各国に働きかけていること、そして円安が後押して前年比21.8%増となり、3 年連続で過去最高を更新した。

政府は「20年に1 兆円」を目指し、中間目標として「16 年に7,000 億円」を掲げていたが、1年前倒しで達成した。

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この輸出実績の内訳は、農産物が4,431 億円(24.1%増)、林産物が263 億円
(24.7%増)、水産物が2,757 億円(18.0%増) となっている。輸出先のベスト5は、
香港(1,794 億円)、米国(1,071 億円)、台湾(952 億円)、中国(839 億円)、韓国(501 億円) で、その後ろにタイ、ベトナム、シンガポールといった国々が続き、アジアが輸出額の73.5%を占めるに至っている。

品目別では、ホタテ貝が32.3%増の591 億円と全品目の中で最大で、中華料理などの食材としての需要が伸びた。私の顧問先である下関の唐戸市場の海産物問屋でも、乾燥ホタテ貝柱が人気で、中国人インバウンド客に爆買いされているという。

この他、リンゴが前年比55.0%増の134 億円、牛肉が34.6%増の110 億円、緑茶が29.6%増の101 億円と、いずれも初めて100 億円台に達した。

政府は平成25 年、1 兆円の目標達成に向けて輸出戦略を策定し、「日本食」を特徴付けるコンテンツとして、①加工食品、②水産物、③コメ・コメ加工品、④林産物、⑤花き、⑥青果物、⑦牛肉、⑧茶の8 品目を重点品目として選定。この品目ごとに重点国・地域を定め、輸出環境の整備や商流の確立・拡大を図っている。

個々の輸出事業者がバラバラに行っていたプロモーション活動の効率化や、輸出に関する環境整備など、オールジャパンでの実効性ある輸出拡大に向けた体制の整備を進めている。

とくに、輸出先の地域特性や食文化などを踏まえたプロモーションや産品の開発は重要で、毎年度、PDCA サイクルに基づき、取り組みの進捗状況や効果等について検証を行い、必要な見直しを講じている。

さらに民間企業や有識者と、TPPを見据えた輸出力強化のワーキンググループを開催するなど、その取り組みは活発化しており、今後もその動向に注目していくつもりである。

 

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